日本企業のロシアとの「直接輸出入」338社が判明

 帝国データバンクがこのほど発表した「日本企業のロシア貿易状況調査」結果によると、在ロシアの企業と直接取引を行う日本企業は、2022年3月現在で国内に338社あることが分かった。さらに、こうした直接輸入・輸出企業と取引関係にある企業は1万4949社判明。この結果、ロシアと直接・間接的に取引関係を有するサプライチェーンでは、全国で最大1万5287社にのぼることが分かった。

 内訳は、輸出関連企業が1万975社、輸入関連企業が4614社。輸出では10数万台超のロシア向け自動車生産を中心に当面需要が消失。輸入面でも市場の需給逼迫から調達品目の価格が高騰し、エンドユーザーでは品薄などからコストアップなどの影響が想定される。このうち、ロシアとの輸出入が主な取引となる一次輸出入企業や、これらとの取引が主な二次取引企業を合わせた「サプライチェーン上『密接な関係』にある」企業は286社だった。

 これに「概ね関係がある」4367 社(28.6%)を合わせると、1.5万社中約3割に当たる 4653社がロシア貿易と「結びつき」があり、対ロ貿易制限等の影響をより強く受ける可能性がある。ロシアと直接、または2次的に取引関係がある企業の業種をみると、輸入(仕入)で代表的な業種では「木材・竹材卸売」(138社)、「木造建築工事」(80社)など、木材関連が上位となった。

 ロシアからの輸入製材品はカナダに次いで2番目に多く、製紙や建築用木材としてロシア材を取り扱う企業がある。「生鮮魚介卸売」(121社)も多く、イクラをはじめとした原卵や、エビ・カニといった品目が輸入で多く目立った。農林水産省によると、ロシアからの水産物輸入額は1000億円を超え、全体の約1割を占める。なかでもカニやサケ・マス、明太子などの原料になるタラの卵などが多い。

 特にタラの卵やウニは国内消費に占めるロシア産の割合が高いとされる。既にこうした品目では品薄などの影響が出始めており、エンドユーザーとなるスーパーや飲食店などに影響が波及する恐れがある。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220403.pdf