今夏ボーナス見通し、コロナ禍の影響は一巡し増加に

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した「2022年夏のボーナス見通し」によると、厚生労働省「毎月勤労統計調査」ベースで見た民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)の2022年夏のボーナスは、一人当たり平均支給額が38万3949円、前年比+1.0%と2年ぶりに増加に転じる見込みだ。コロナ禍の影響が一巡し、昨年大きく落ち込んだ飲食店や娯楽業といった対面サービス業などで減少に歯止めがかかるとみられる。

 ただし、順調に回復する企業業績、堅調な雇用情勢が追い風となるも、新型コロナ感染症の断続的な感染拡大、ウクライナ危機前から続く資源価格高による企業の負担コスト増が押し下げ要因となり、増加幅は限定的にとどまると予測。なお、足元のウクライナ危機は、ボーナスが過去の業績に応じて支給されるものであるうえ、春闘のタイミングで支給額を決定した企業も多く、今夏のボーナスには影響を及ぼすことはないとみている。

 また、コロナ禍での業績悪化でボーナス支給を一時的に取りやめていた事業所での支給再開が見込まれ、 ボーナスを支給する事業所で働く労働者の数は4102万人(前年比+1.5%)と増加し、支給労働者割合も80.1%(前年差+0.8%ポイント)と3年ぶりに上昇する見込み。ボーナスが支給される労働者数の増加を反映して、2022年夏のボーナス支給総額は15.7兆円(前年比+2.4%)と2年連続で増加し、2001年以来の高水準が見込まれる。

 2021年末の家計金融資産残高(日本銀行「資金循環統計」より)が初めて2000兆円超を記録し、過去最高となったこととあわせて、ボーナス支給総額の増加は個人消費の回復の下支えとなることが期待されている。なお、実勢を示す全労働者一人当たりのボーナス支給総額は前年比+1.9%と、ボーナスが支給される労働者の増加を受け、支給事業所の一人当たり支給額以上の伸びが見込まれている。

 一方、2022年夏の国家公務員(管理職及び非常勤を除く一般行政職)のボーナス(期末・勤勉手当)の平均支給額は58万4900円(前年比-11.5%)と、大きく減少すると予測。昨年の給与法改正が昨冬のボーナスの支給に間に合わなかったことの微調整(0.15ヵ月の減額)など、昨冬ボーナス減少分も合わせての減少となり、ようやくコロナ禍での民間ボーナスの大幅減の影響が織り込まれることになる 。

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