倒産企業、「稼ぐ力」を失い過剰債務・返済能力悪化

 東京商工リサーチが発表した「倒産企業の財務データ分析調査」結果によると、2021年の倒産企業の赤字企業率は、直近決算(最新期)で61.0%(前期44.4%)に達した。元々の業績低迷に新型コロナ感染拡大が襲い掛かり、急激な売上減少で赤字率が上昇した。同調査は、2021年の負債1000万円以上の倒産企業を対象に、同社が3期連続で財務データを保有する308社と、生存企業37万1476社の財務データを比較、分析したもの。

 また、債務返済能力を示す指標の債務償還年数(中央値)は、最新期で25.3年(前期22.4年)にのぼった。これは生存企業の2.5年の10.1倍で、業績不振に陥った企業に過剰債務が重くのしかかっていたことを裏付ける。2021年の全国の企業倒産は6030件で、57年ぶりの歴史的な低水準にとどまり、コロナ禍の緊急避難的な資金繰り支援策が倒産抑制に大きな効果をみせた。だが、その副作用で過剰債務が広がる弊害も生み出した。

 最新期の営業利益率は、倒産企業が▲3.9%に対し、生存企業は4.3%だった。倒産企業の営業利益率は、前々期▲0.3%→前期▲0.7%→最新期▲3.9%と、低下が著しい。倒産企業で営業利益が黒字は、前々期60.0%(185社)→前期54.2%(167社)→最新期39.6%(122社)と明らかに減少している。一方、生存企業は、前々期72.1%→前期70.2%→最新期62.6%で、倒産企業と生存企業は本業の利益確保に大きな違いがある。

 有利子負債構成比率は、企業の借入金への依存度を示すが、倒産企業は、前々期66.9%→前期66.3%→最新期70.5%だった。一方、生存企業は前々期27.5%→前期28.2%→最新期29.5%で、2.3倍の差があった。倒産企業と生存企業は、最新期で41.0ポイントの差が生じている。倒産企業は、業績低迷をコロナ関連支援でひと息ついたが、結局は過剰債務により息切れした姿が浮かび上がる。

 債務償還年数は、借入金の返済能力を見る指標の一つ。一般的に「10年以上」は新たな資金調達が難しいとされる。倒産企業は、前々期26.1年→前期22.4年→最新期25.3年。一方、生存企業は前々期2.4年→前期2.2年→最新期2.5年と横ばい。倒産企業は償還年数が20年以上に達し、利益による償還が困難な状態。最新期で債務償還年数の構成比をみると、償還年数が10年以上は、倒産企業が70.9%に対し、生存企業は25.4%にとどまる。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220328_01.html