コロナ関連融資、小規模企業を中心に52.6%が活用

 帝国データバンクがこのほど発表した「新型コロナ関連融資に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1562社)によると、コロナ関連融資について、「借りていない」企業は42.4%だった一方、「借りた・借りている」企業は 52.6%と半数を超えていた。規模別では、小規模企業で「借りた・借りている」が61.8%と6割を超え、「大企業」(27.8%)を34.0ポイント上回っている。

 規模の小さい企業ほど、借り入れを行いながら厳しい状況を乗り切ろうとしている様子がうかがえる。コロナ関連融資を「借りた・借りている」企業を業種別にみると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けた「旅館・ホテル」は72.3%が借りており、さらに「飲食店」も72.1%に達している。コロナ関連融資が苦しい時期を乗り越える一助になっていた可能性が現れている。

 コロナ関連融資を「借りた・借りている」企業の資金の使い道(3つまで回答)は、給与・賞与などを含む「人件費」が50.1%でトップ。多くの企業で雇用維持のために使っていたことがうかがえる。次いで、「原材料や商品の仕入れなど」(43.4%)、「設備の修繕・更新など」(25.3%)、「新規の設備投資や事業の拡張」(18.5%)が続いた。企業の4社に1社が設備の修繕・更新などに充てているほか、新規投資にも2割近くの企業が使用していた。

 コロナ関連融資を今後借入れ・追加融資の予定がない企業のその理由(3つまで回答)は、「負債を増やしたくないから」が36.2%で最も多く、次いで、「業績が回復し、借りなくても資金繰りに困らないから」(31.9%)が3割台、また、「売上高減少などの融資要件を満たしていないから」(16.3%)が二ケタ桁台で続いた。総じて、今後は負債を増やさず、新型コロナショックを自力で乗り切ろうとする様子がうかがえる。

 コロナ関連融資を「現在借りている」企業の返済状況は、「条件通り返済している」が 54.2%。また、今後返済が始まる企業は32.1%だった。一方で、企業の1.5%がすでに減額や返済猶予、信用保証協会による代位弁済などを受けていた。今後の返済見通しについては、企業の81.3%は「融資条件通り、全額返済できる」と回答。ただ、「返済が遅れる恐れがある」(3.1%)など、今後の返済に不安を抱いている企業は9.0%と1割近くにのぼった。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220308.pdf