生活衛生関係企業の約半数が「事業承継の意向あり」

 日本政策金融公庫が、経営者の年齢が60歳以上の飲食業や理・美容業、ホテル・旅館業などの生活衛生関係営業を営む企業を対象に昨年12月上旬に実施した「事業承継に関するアンケート調査」結果(有効回答数1773社)によると、事業承継の意向は、「意向あり(第三者への売却・譲渡を含む)」が48.3%、「意向なし」が22.8%、「現時点では考えていない」が28.9%となった。

 従業員数別にみると、従業員数の比較的多い企業(6~10人、11人以上)では「意向あり(第三者への売却・譲渡を含む)」が7割以上を占めた一方、2人以下の企業では28.8%にとどまった。2021年10~12月期の採算状況別にみると、「意向あり(第三者への売却・譲渡を含む)」と回答した企業の割合は、「黒字企業」では61.5%、「収支トントンの企業」では49.8%、「赤字企業」では44.8%だった。

 事業承継の「意向あり」と回答した企業に対し、後継者の有無を尋ねたところ、「後継者が決まっている」が63.2%、「後継者候補はいる」が24.4%、「後継者はいない(後継者候補もいない)」が12.4%となった。業種別にみると、「理容業」において「後継者が決まっている」との回答割合が78.3%と最も高く、次いで、「クリーニング業」(73.2%)、「食肉・食鳥肉販売業」(67.9%)の順だった。

「後継者が決まっている」、「後継者候補はいる」と回答した企業の後継者(後継者候補)との関係は、「子ども」が81.2%と、8割以上を占め、「血縁者以外」は11.0%にとどまった。また、事業承継の「意向なし」と回答した企業のその理由(複数回答)は、「後継者(後継者候補)がいないから」(74.0%)、「業績が悪いから」(41.0%)、「事業に対するこだわりがあり、ほかの人に任せたくないから」(14.8%)の順となった。

 事業承継をしない理由について「後継者(後継者候補)がいないから」と回答した企業に対し、第三者から事業を引き継ぎたいと打診があった場合の考えを尋ねたところ、「事業承継を検討する」が25.8%(「前向きに検討する」8.1%、「検討してもよい」17.7%の合計)となった。「現時点では分からない」は41.0%、「断る」は33.2%だった。

 同調査結果は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/seikatsu22_0311a.pdf