2022年1月の個人消費の景況感が5ヵ月ぶりに悪化

 帝国データバンクが発表した家計消費支出の動向と2022年の見通しによると、同社の「TDB景気動向調査」で算出している2022年1月の個人消費DIは32.5となり、5ヵ月ぶりに景況感が悪化した。特に、オミクロン株の感染が拡大し人流抑制策が一部地域で再び発出されたなかで、「旅館・ホテル」や「飲食店」などを含む個人向けサービス業のほか、外出機会の減少で婦人・子供服などアパレル小売の景況感が大きく下押しする形となった。

 総務省が発表した「家計調査」(二人以上の世帯、総世帯)によると、2021年の名目家計消費支出は前年比0.4%増と2年ぶりに増加した。自宅内消費に関連した冷凍調理食品、マスクやガーゼを含む保健用消耗品などは新型コロナ前の2019年を大きく上回っているが、他方で、宿泊料やパック旅行費、遊園地の入場料のほか、食事代や婦人服などは大幅に減少した状況が続いている。

 実質家計消費支出についてTDBマクロ経済予測モデルでシミュレーションを実施したところ、2022年は1~3月期がオミクロン株の感染拡大にともない前期比でマイナスの伸びになるものの、4~6月期以降はリベンジ消費や旺盛な自宅内消費の継続などもありプラスで推移すると見込まれる。その結果、通年では前年比3.6%増の約289兆9060億円となり、2年連続で増加すると予測している。

 同モデルのシミュレーション結果を形態別にみると、「耐久財消費」は自動車の挽回生産にともなう販売増などで前年比3.8%増と見込まれる。「半耐久財消費」は衣服などで外出機会の増加もあり同4.1%増、「非耐久財消費」は活発な自宅内消費の継続で食料などが旺盛で同1.9%増、「サービス消費」は新規感染者数の落ち着きが期待されることから対面型サービス需要の拡大などにより同4.4%増になると見込まれる。

 しかし金額面では、2022年に新型コロナ拡大前である2019年の水準を上回るのは非耐久財消費のみにとどまる。家計消費支出は需要項目で最大のウェイトを占めており、その動向は経済活動に大きく影響する。帝国データバンクは、「2022年の家計消費支出はサービス消費がけん引し2年連続で増加するとみられるが、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準(2019年)に達するのは、2023年頃になると見込まれる」と予測している。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p220210.pdf