東京商工リサーチが発表した2022年度「賃上げに関するアンケート」結果(有効回答数6781社)によると2022年度に賃上げ実施を予定する企業は71.6%だった。前年度(2021年度)から1.3ポイント上昇し、2年連続で増加したが、コロナ前の実施率80%台の水準には届かなかった。新型コロナ感染拡大の影響を受けた2020年度は、「賃上げ実施率」は定期的な調査を開始した2016年度以降で最低の57.5%にとどまった。
コロナ前は「官製春闘」や人手不足などの影響で、企業の賃上げ実施率は80%台の高水準に達していた。だが、回復基調にはあるものの、長引くコロナ禍で、賃上げの実施率はコロナ前から約10ポイント落ち込んだ状態が続いている。規模別では、「実施する」は大企業77.2%、中小企業70.8%で、前年度の7.4ポイント差から6.4ポイント差に縮まった。これは中小企業の賃上げ実施率が、前年度から6.0ポイント改善したことが要因。
産業別でみると、「実施する」の構成比が最も高かったのは、「製造業」の78.8%。次いで、「卸売業」74.7%、「建設業」73.2%、「情報通信業」69.4%の順となった。最低は、「金融・保険業」の45.3%だった。規模別では、大企業の「農・林・漁・鉱業」、「建設業」、「製造業」、「運輸業」で「実施する」が80%を超えた一方で、中小企業は「実施する」が80%を超えた産業はなかった。
「実施する」と回答した企業の賃上げ内容(複数回答)は、最多が「定期昇給」の81.8%、以下、「ベースアップ」の32.1%、「賞与(一時金)の増額」の28.1%と続く。DX推進でデジタル人材の確保や「ジョブ型雇用」も話題にのぼるが、「新卒者の初任給の増額」は大企業が15.2%(661社中、101社)に対し、中小企業は0.3%(4148社中、430社)で、大企業が中小企業を4.9ポイント上回った。
賃上げ率について(回答2492社)、1%区切りでは、最多は「1%以上2%未満」の6.2%、次いで、前年度最多だった「2%以上3%未満」が33.4%、「3%以上4%未満」が17.0%と続く。この結果、賃上げ率「3%未満」が73.1%と7割を超えた。前年度の「3%未満」は50.8%で、実施率は上昇したが、3%以上の賃上げ率の企業は20ポイント以上減少した。中央値は、規模を問わず2.0%だった。
同調査結果は↓