2021年分所得税等の確定申告が始まっている。確定申告は関係ないという人も多いだろうが、医療費控除や雑損控除などの適用を受けることで、所得税の還付が受けられる還付申告が毎年相当数にのぼる。昨年の2020年分の所得税等の確定申告においては、総申告人員約2249万人のうち、還付申告者は約1301万人と約58%を占めている。なかでも、医療費控除の適用者は約725万人と還付申告者の約56%と半数を上回る。
ところで最近、「医療費の払い戻しがある」などの嘘の電話をかけてきて現金を騙し取る「還付金詐欺」の被害が全国に広がっているという。警察庁によると、還付金詐欺は、認知件数4001件で前年比2197件増と倍増し、被害額も45億1000万円で同約81%増と大きく増加。総認知件数(1万4461件)に占める割合は27.7%で同14.4ポイント増となっている。他の手口と比べ7都府県以外に被害が拡散傾向にある。
還付金詐欺は、税金還付等に必要な手続きを装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により財産上の不法の利益を得る手口。自治体、税務署、年金事務所の職員などと名乗り、医療費・保険料の過払い金や、一部未払いの年金があるなど、お金を受け取れるという内容の電話をかけてくる。被害者が犯人の指示通りにATMを操作すると、実際には犯人側の口座にお金が振り込まれるという詐欺だ。
払い戻しには期限があると焦らせた上で、今すぐ携帯電話を持って近くのATMに向かうように指示をしてくる。警察庁では、還付金詐欺対策として、金融機関と連携し、一定年数以上にわたってATMでの振込実績のない高齢者のATM振込限度額をゼロ円(又は極めて少額)とし、窓口に誘導して声掛け等を行う取組みを推進(2021年12月末現在、47都道府県、401金融機関)。全国規模の金融機関等においても取組みを実施している。
また、還付金詐欺の被害を防止するため、(1)ATMでお金が返ってくることは、絶対にないこと、(2)電話でお金の話が出たら、家族に相談すること、(3)常に留守番電話機能を設定しておくこと、(4)迷惑電話防止機器を利用すること、(5)公的機関の名を出されても信用しないこと、を掲げて注意を呼びかけている。なお、同庁ホームページ上に「手口紹介動画『還付金詐欺』編」を掲載しているのでご覧いただきたい。
「手口紹介動画『還付金詐欺』編」は↓