経産省、約束手形の利用廃止へ向けて道筋を公表

 経済産業省では、約束手形の2026年までの利用廃止への道筋として、(1)各産業界・団体が作成した自主行動計画の改定の要請、(2)手形交換所での約束手形の取扱い廃止の検討を、先日公表した「取引適正化に向けた5つの取組み」の中で明らかにした。各産業界・団体に対し、約束手形の利用廃止に向けた具体的なロードマップを検討し、今夏を目処に各産業界・団体の自主行動計画へ反映するよう要請するため、2月中に所管省庁に依頼する。

 また、業種をまたぐ取引上の課題(自らの業種だけではなく、他業種でも取り組んでもらわなければ解決できない問題)を洗い出し、春頃までに中小企業庁にフィードバック。出てきた事項を中企庁でまとめ、各産業界・団体の自主行動計画へ盛り込むよう要請する。一方、産業界での約束手形利用廃止の取組状況を踏まえつつ、2026年に手形交換所での約束手形の取扱い廃止の可否について検討を開始するよう、2月中に金融業界に依頼する。

 支払手形の残高は、1990年度の107兆円をピークに減少に転じ、2019年度現在では25兆円。業種別では、卸小売、製造、建設業で手形が多く利用されている。中企庁の2020年度アンケート調査によると、支払サイトの平均が、現金(振込)の50日に対し約束手形は約2倍の100日と長く、また、受取人が利息・割引料を負担する取引慣行となっており、これらが約束手形利用廃止の背景になっている。

 約束手形の利用の廃止については、政府の成長戦略実行計画(2021年6月18日閣議決定)で、「本年夏を目途に、産業界及び金融界による自主行動計画の策定を求めることで、 5年後の約束手形の利用の廃止に向けた取組みを促進する。まずは、下請代金の支払に係る約束手形の支払サイトについて60日以内への短縮化を推進する。さらに、小切手の全面的な電子化を図る」と記載されていた。

 他方、公正取引委員会は2月16日、中小事業者の取引条件の改善を図る観点から、下請法等の一層の運用強化に向けた取組み進めており、その取組みの一環として、2021年3月31日に、公取委と中企庁との連名で、関係事業者団体約1400団体に対して、おおむね3年以内を目途として可能な限り速やかに手形等のサイトを60日以内とすることなど、下請代金の支払の適正化に関する要請を行ったことを明らかにしている。