帝国データバンクが発表した「首都圏・本社移転動向調査」結果によると、2021年に本社移転を行った企業は、全国で2258社にのぼった。前年(2020年)から1割超の増加となり、1990年以降で2001年(2299社)に次ぐ過去5番目の多さとなった。コロナ禍で県境をまたぐ移動の自粛を余儀なくされたことで、2020年中の移転計画などが中止・延期となった企業は多く、その反動として大幅に増えたものとみられる。
このうち、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)から地方へ、本社または本社機能を移転した企業は351社判明、前年から2割超の大幅増加となった。転出企業が300社を超えるのは2002年以来19年ぶりで、これまで最多だった1994年の328社を大幅に上回り、過去最多を更新した。一方、地方から首都圏へ本社を移転した企業は328社。前年から約1割増加し、2015年の335社に次ぐ2番目の多さだった。
この結果、2021 年における首都圏の本社移転動向は、転出社数が転入を23社上回る「転出超過」となった。首都圏で転出超過となるのは2010年以来11年ぶり。地方の成長企業などを中心に、首都圏に本社を移す動きは前年より強まったものの、昨年11月時点で首都圏外への本社移転企業が300社を突破するなど、過去に例を見ないハイペースで企業の首都圏外への移転=脱首都圏の動きが進み、結果として転出超過に転じた。
首都圏からの移転先では、最も多いのは「大阪府」の46社で、次いで「茨城県」(37社)となった。大阪府への転出社数は2年連続で増加したほか、2010年の41社を上回り過去最多を更新した。3位の「北海道」は33社で、コロナ前の19年(7社)から約5倍に急増した。首都圏から北海道への移転社数としては過去最多となる。人口密度の低さなどから、本社機能や研究施設の受け皿として北海道が注目されていることも背景にある。
首都圏からの転出企業を売上高規模別にみると、最も多かったのは「1億円未満」(176社)で、多くが小規模な企業だった。なかでも、5000万円未満の小規模企業、設立間もないスタートアップの割合はコロナ前を大きく上回る水準で、10年前(2011年)を大幅に上回った。研究開発型のスタートアップを中心に、研究施設の拡大などを目的として首都圏外に移転するケースがみられる。転入企業で最多は「1~10億円未満」の135社だった。
同調査結果は↓