帝国データバンクがこのほど発表した「賃金動向に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1981社)によると、2022年度の企業の賃金動向は、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と見込む企業は54.6%となり、2年ぶりに5割を上回ったことが分かった。一方、「ない」と回答した企業は19.5%と前回調査(28.0%)から8.5ポイント低下した。
賃金改善の状況について企業規模別にみると、「大企業」、「中小企業」、「小規模企業」の 3規模全てで、前回調査の2021年度見込みから賃金改善見込みの割合が上昇していた。賃金改善の具体的な内容をみると、「ベースアップ」が 46.4%(前年比10.5ポイント増)、「賞与(一時金)」が27.7%(同7.4ポイント増)となり、それぞれ増加。「ベースアップ」は2019年度の45.6%を上回り、調査開始以降で最高の水準となった。
2022年度に賃金改善が「ある」と回答した企業のその理由(複数回答)は、人手不足などによる「労働力の定着・確保」が76.6%と最多。それ以外の賃金改善する理由では、「自社の業績拡大」(38.0%)、「物価動向」(21.8%)、「同業他社の賃金動向」(18.4%)、「最低賃金の改定」(17.9%)が続いた。他方、賃金改善が「ない」企業のその理由(複数回答)は、「自社の業績低迷」が64.7%と、2021年度見込み同様に最も多くなった。
政府は2021年12月に発表している賃上げ促進税制において、資本金1億円超の企業向けでは、「継続雇用者の給与等支給額が前年度比で3%以上増加」した企業へ15%~30%、資本金1億円以下の企業向けでは、「雇用者全体の給与等支給額が前年度比 で1.5%以上増加」した企業へ15%~40%の税額控除をするとしている。そこで、2022年度の自社の総人件費が2021年度と比較してどの程度変動すると見込むかを尋ねた。
その結果、「増加」を見込んでいる企業は、67.1%と 2021年調査から12.9ポイント増と大幅に増加。一方、「減少」すると見込む企業は8.7%(前年比▲7.0ポイント減)となり、総人件費の増加率は前年度から平均2.68%増加すると見込まれる。また、資本金1億円超の企業において、総人件費の増加率が3%以上とした企業は27.2%、資本金1億円以下の企業において、総人件費の増加幅が1%以上とした企業は67.7%となった。
同調査結果は↓