2022年度の中途採用見通し、採用意欲は回復か

 リクルートワークス研究所がこのほど発表した「民間企業の中途採用実態調査」結果(有効回答数4519社)によると、中途採用における人員確保を経年比較したところ、2021年度上半期の「確保できなかった」は50.6%と、前年同期の43.0%から+7.6%ポイントと上昇した。一方で、2021年度上半期の「確保できた」は47.8%と、前年同期の54.8%から-7.0%ポイントと低下した。

 中途採用確保DI(「確保できた」-「確保できなかった」)は、-2.8%ポイントと、2年ぶりに基準値の0を下回った。前年同期と比較して-14.6%ポイントと下落。これは比較可能な2013年上半期以降で、最大の変動幅だ。新型コロナ感染拡大により、多くの企業で採用意欲は停滞し、2020年度上半期頃に求人難は下げ止まりとなった。しかし2021年度上半期では、業種別に傾向は分かれたものの、全体的には再び求人難の状況と言える。

 2022年度の中途採用の見通しについては、「増える」(14.5%)が「減る」(3.6%)を上回った。昨年はコロナ禍のため採用意欲が減退したものの、2022年度は一転して回復し、再びの人手不足状況が予想される。「わからない」企業は38.9%で、前年と比較して+0.6%ポイントと微増。コロナ禍前の2020年度(31.1%)と比較すると高い水準と言え、新型コロナウイルスの影響で採用数の決定に慎重な企業が一部残っていることが分かる。

 「以前も今後も採用しない」企業は5.1%と前年(5.6%)よりも更に減少した。将来的な人手不足を見越して、多くの企業が中途採用を試みている。従業員規模別にみると、全ての従業員規模で「増える」が「減る」を上回った。採用意欲は回復している。特に従業員規模1000人以上の企業では+16.6%ポイントとなっており、1000人未満企業の+8.9%ポイントと比較して採用意欲の回復が顕著だ。

 2022年度の中途採用見通しを業種別(大分類)でみると、全ての業種において「増える」が「減る」を上回っている。業種別(中分類)でみても、ほぼ全ての業種において「増える」が「減る」を上回っている。中でも、「増える」が「減る」を大きく上回っているのは、「情報通信業」(+22.7%ポイント)、「機械器具製造業」(+14.1%ポイント)で、いずれも人手不足が目立つ業種や、コロナ禍でも業績見通しが良い業種だ。

 また「飲食店・宿泊業」(+12.9%ポイント)や「運輸業」(+12.0%ポイント)など、前年コロナ禍の影響で見通しの悪かった業種でも採用意欲は回復。大分類について前年と比較すると、中途採用意欲は回復。同ワークス研究所「中途採用実態調査(2020年度上半期実績、2021年度見通し)」によると、2021年度の飲食店・宿泊業と運輸業の見通しはそれぞれ-6.5%ポイント、-5.5%ポイントとマイナス幅が特に大きい業種だった。

 同調査結果は↓

https://www.works-i.com/research/works-report/item/220214_midcareer_1.pdf