大幅に売上減少した店舗の減少理由の約77%はコロナ

 日本総研が生活衛生同業組合加盟店舗を対象に2021年10月5日から10月29日にかけて実施した「店舗における顧客対応の実態に関するアンケート調査」結果(有効回答数837店舗)によると、2020年と2021年はいずれの年もコロナ禍であったものの、同時期(6月)の売上対比では今年度大幅に売上が減少した店舗が約80%であり、その減少理由の約85%は新型コロナウイルス感染拡大だった。

 今年度「売上がかなり減った」と回答した670店舗のうち、昨年同時期(6月)対比での減少割合は50%減った店舗が16.3%で最も多く、90%以上減少した店舗が16.1%で続いた。飲食店を代表とする店舗損益に対しては新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく、売上を半分以上失っている店舗が多数存在したことが分かった。「売上がかなり減った」と回答した店舗の約6割が、昨年同月比で50%以上の売上を失っている。

 売上獲得策として「イートイン(店内飲食)」に代わる新たな取組み(複数回答)については、「いずれも実施していない」割合(20.1%)が昨年よりも6ポイント近く下がったことからやや進んでいることがうかがえるも、取組みとして大きく進んだのが「コロナ対策ステッカー」(58.9%)。ただ、「デリバリー」や「EC」は微増となっており、依然として多くの店舗が「イートイン」に売上が依存している傾向にあることがうかがえる。

 また、「入店時の体温計測」(60.7%)、「滞在に関する注意喚起」(72.5%)、「パーテーション設置」(73.7%)等の感染拡大防止の取り組みは昨年より30ポイント以上増加しており、店舗における感染対策は大きく進み、新しい生活様式へ対応し始めていることがうかがえる。活用した支援策では、全体の約52%が持続化補助金を利用しており、資金繰りの厳しい店舗ほど金融や休業補償を利用していることが分かった。

 2019年度調査からの継続項目である「キャッシュレス対応」の状況では、クレジットカード以外の全てのキャッシュレス手段において、2019年度対比で、3ヵ年連続で導入店舗数は増加している傾向にあった。またキャッシュレス対応による売上への影響は3ヵ年連続で過半数が「影響していない」(2021年度51.8%)と回答しており、各店舗の業績への貢献は軽微であったことがうかがえる。

 もう1つの2019年からの継続調査項目である「喫煙環境対応」の状況では、最も選択されている喫煙環境は「店内禁煙、店外喫煙スペース」(2021年度36.0%)だった。喫煙環境の対応による業績の影響については3ヵ年連続で「影響していない」(同54.7%)との回答が過半を占めた一方で、「マイナスに影響した」(同18.4%)店舗は一定程度存在しており、禁煙・分煙化の流れが売上減少に影響していることがうかがえる。

 同調査結果は↓

https://www.jri.co.jp/file/column/opinion/detail/20220210_omori.pdf