東京商工リサーチの調査によると、2021年の「習い事教室(教養・技能教授業)」の倒産(負債額1000万円以上)は、27件(前年比▲42.5%)で、過去10年間で最も少なかったことが分かった。一方、休廃業・解散は100件(同4.1%増)と、10年間で最多を記録して初めて100件に乗せた。倒産は大幅に減少したが、休廃業・解散は3年連続で前年を上回った背景には、コロナ禍の収束が見通せないことがある。
「習い事教室」の倒産は、2020年は47件と過去最多を記録。2021年はコロナ関連の支援策が浸透し、事業者の資金繰りが緩和された。また、授業のオンライン化なども広がり、長引くコロナ禍で新たな事業運営が奏功した。しっかりしたコロナ対策は受講者数にも影響を及ぼすが、資金力が乏しい中小・零細事業者には負担が大きい。支援策で一時的に資金繰りが緩和しても、長期的には資金負担をどう吸収するか、事業運営のカギになっている。
業種別では、スポーツ教室、パーソナルジムなどの「スポーツ・健康教授業」が9件(前年比▲25.0%)で最多。次いで、「音楽教授業」の4件(同▲50.0%)。「生花・茶道教授業」と「外国語会話教授業」が各1件だった。2020年4月の緊急事態宣言の下では、「習い事教室」も休業要請の協力対象となった。そのため、事業活動に大きな影響を受け、急激な売上減少で業績が悪化し、倒産も高水準で推移した。
しかし、2021年はコロナ関連の資金繰り支援策が浸透し、さらにリモートでの開講などコロナ対策が進み、倒産は大幅に減少した。ただ、専用の機材や一定のスペースを要する「スポーツ・健康教授業」は代替策が難しく、他の業種より減少幅が小さかった。また、三密回避や細やかな指使いなどの指導が難しい「音楽教授業」では4件中3件がコロナ関連倒産で占められるなど、業種によってコロナ禍の影響に濃淡が出た。
原因別では、最多が「販売不振」の24件(前年比▲42.8%)。倒産に占める構成比は88.8%で前年からは0.5ポイント低下。次いで、「事業上の失敗」が2件(前年3件)、「事業外の失敗」が1件(同ゼロ)だった。『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は24件(前年比▲44.1%)で、構成比は88.8%と、全体の約9割を占めた。倒産件数は減少したが、コロナ禍での休講や生徒の退会による売上減少の影響は続いている。
同調査結果は↓