研修費用総額、1人当たり2万4841円に大幅減少

 1社当たりの教育研修費用総額は、2020年度は予算額6934万円(前回調査7737万円)、同実績額4625万円(同6599万円)であり、2021年度は予算額6603万円(同7370万円)であることが、産労総合研究所がこのほど発表した「2021年度教育研修費用の実態調査」結果(有効回答数215社)で分かった。いずれも前年度より減少しており、特に2020年度実績は、1974万円、▲29.9%の減少となった。新型コロナの影響とみられる。

 従業員1人当たりの教育研修費用は、2020年度の予算額4万2446円(前回調査4万636円)、同実績額2万4841円(同3万5628円)、2021年度予算額3万9682円(同3万9860円)で、実績が3万円を下回ったのは1999年度以来。2020年度実績額を規模別にみると、大企業(1000人以上)2万4329円(同3万1397円)、中堅企業(300~999人)2万4790円(同4万1278円)、中小企業(299人以下)2万6583円(同4万588円)となった。

 各回答企業の2019年度と2020年度予算を比較してみると、予算額が「増加」は35.4%(前回調査41.9%)、「減少」が50.3%(同45.7%)、「増減なし」は14.4%(同12.4%)と、3年連続で「減少」企業が「増加」企業を上回った。教育研修費用総額の今後1~3年の見通しについては、「かなり増加」が6.6%、「やや増加」が36.5%に対し、「現状維持」が39.3%、「やや減少」12.8%、「かなり減少」4.7%となっている。

 これを「増加計」(「かなり増加」+「やや増加」)、「減少計」(「かなり減少」+「やや減少」)、「現状維持」の3項目にまとめたうえで前回調査を比較すると、「増加計」が43.1%(前回調査28.8%)、「減少計」が17.5%(同26.2%)、「現状維持」が39.3%(同45.0%)となり、増加傾向がみてとれた。コロナ禍で休止・延期された研修の再開や、コロナ禍を機に導入・活用が加速したデジタル化を担う人材の育成等、積極的な教育投資がうかがえる。

 今回の調査では、新型コロナの感染拡大が教育研修にもたらした影響について調べており、2020年度教育研修における新型コロナ感染拡大の影響については、97.6%とほぼすべての企業が「影響があった(「おおいに影響あり」78.0%+「一部影響があった」19.6%)」と回答。規模別にみると、規模が大きいほど「おおいに影響があった」とする割合は高く、大企業87.5%、中堅企業80.5%、中小企業は51.2%となっている。

 同調査結果は↓https://www.e-sanro.net/share/pdf/research/pr_2201-2.pdf