2022年度改正で税理士制度を13項目にわたり見直し

税理士制度の見直しについては、2022年度税制改正大綱において、(1)税理士業務の電子化等の推進、(2)税理士事務所の該当性の判定基準の見直し、(3)税務代理の範囲の明確化、(4)税理士会の総会等の招集通知及び議決権行使の委任の電子化、(5)税理士試験の受験資格要件の緩和、(6)懲戒処分等の除斥期間の創設、など13項目が明記されている。税理士制度の見直しは、日本税理士会連合会(日税連)が求めていたもの。

ただ、日税連の要望にはなかった項目として、「懲戒処分を受けるべきであったことについての決定制度の創設等」と「税理士法に違反する行為又は事実に関する調査の見直し」が盛り込まれている。前者の決定制度は、財務大臣は、税理士であった者につき税理士であった期間内に懲戒処分の対象となる行為又は事実があると認めたときは、その税理士であった者が懲戒処分を受けるべきであったことについて決定できるとする制度。

この場合、財務大臣は、その税理士だった者が受けるべきだった懲戒処分の種類(その懲戒処分が税理士業務の停止処分の場合には、懲戒処分の種類、税理士業務の停止をすべき期間)を明らかにしなければならない。この決定制度創設に伴い、税理士の欠格条項と登録拒否事由を見直す。税理士の欠格条項に、税理士業務の禁止の懲戒処分を受けるべきだったことについて決定を受けた者で、その決定を受けた日から3年を経過しないものを加える。

また、税理士の登録拒否事由に、税理士業務の停止の懲戒処分を受けるべきであったことについて決定を受けた者で、明らかにされた税理士業務の停止をすべき期間を経過しないものを加える。「税理士法に違反する行為又は事実に関する調査の見直し」では、これらに係る質問検査等の対象に、税理士であった者及び税理士業務の制限又は名称の使用制限に違反したと思料される者を加える。

これらの改正の背景には、懲戒処分の調査対象となった税理士が廃業し税理士登録を抹消することにより、国税当局の調査と懲戒処分を逃れる問題があった。このため、改正では、“税理士であった者”も調査や懲戒処分の対象に加える規定を置いた。一方、日税連が求めていた「懲戒処分等の除斥期間の創設」は、税理士等に係る懲戒処分について、懲戒の事由があったときから10年経過したときは懲戒の手続きを開始できないとするもの。

相当年数前の事案も処分を問われるとすると、税理士側に反論資料が残っていない場合等があり、自己防衛できないという理由からだ。日税連では、懲戒処分逃れ対策が講じられることを前提に、この時効制度の創設を求めていた。これら懲戒処分関係の3つの改正は、2023年4月1日以後にした違反行為等、質問検査等について適用するとされている。