日本経団連が発表した「2021年6月度定期賃金調査」結果(有効回答数329社)によると、主な年齢ポイントでみた大学卒総合職(管理・事務・技術労働者)の標準者賃金は、「22歳」22万2821円、「35歳」38万3701円、「45歳」53万395円、「55歳」61万668円となった。標準者賃金とは、学校卒業後直ちに入社し、引き続き在籍している従業員で、学歴や年齢などの設定条件の該当者の1ヵ月当たりの所定労働時間内賃金をいう。
学歴別の標準者賃金は、全ての学歴において、年齢・勤続年数が上がるにつれて金額が増加し、55歳でピークを迎え、役職定年などの影響によって、横ばい又は減少となる傾向が続いている。大学卒総合職では、役職登用・昇進時期に当たる35~40歳の間で増加額が高い。他の学歴では、25~30歳及び30~35歳の間で大きく増加する傾向がみられ、世帯形成時期に当たる年齢層の賃金を重点的に引き上げていることがうかがえる。
産業別の所定労働時間内賃金は、全産業平均が39万1408円であるのに対し、製造業平均が37万7922円、非製造業が41万8086円となり、非製造業平均が全産業平均を上回っている。所定労働時間外賃金をみると、製造業平均が5万4610円(前年比+1万6089円)、非製造業平均が5万4452円(同+8388円)となっており、コロナ禍による需要減少から回復傾向にあることがうかがえる。
規模別の平均賃金は、所定労働時間内賃金・所定労働時間外賃金ともに、従業員数が「3000人以上」の規模が最も高くなっている。また、役職者賃金(実在者)をみると、「部長(兼取締役)」が100万816円(前年比▲3万9969円)、「部長」が72万55円(同+1万3008円)、「部次長」が60万107円(同▲1万356円)、「課長」が54万4015円(同+2645円)、「係長」が41万1183円(同▲2614円)となっている。
「部長(兼取締役)」が前年より大きく減少したのが目立つほか、「部次長」、「課長」も減少した。部長の所定労働時間内賃金を100とした場合の役職間の賃金比率をみると、「部長(兼取締役)」が139.0と前年(147.2)よりやや減少したのを始め、全ての役職でやや減少した。また、平均年齢と平均勤続年数は、いずれの役職においても、前年と比べて大きな変化はなかった。