財務省は1月25日、2022年度の国税関係の税制改正法案である所得税法等の一部改正法律案を国会に提出したことを明らかにした。2022年度税制改正では、成長と分配の好循環の実現に向けて、多様なステークホルダーに配慮した経営と積極的な賃上げを促す観点から賃上げに係る税制を抜本的に強化する。あわせて、カーボンニュートラルの実現に向けた観点等を踏まえ、住宅ローン控除制度等を見直す。
個人所得課税では、住宅ローン控除制度を見直す。住宅ローン控除の適用期限を4年延長(2025年12月31日までに入居した者が対象)し、省エネ性能等の高い認定住宅等は新築住宅等・既存住宅ともに借入限度額を上乗せ、控除率を0.7%、所得要件を2000万円。新築住宅等は控除期間を13年に設定。2023年以前に建築確認を受けた新築住宅について、合計所得金額 1,000 万円以下の者に限り、床面積要件を40平方メートルに緩和する。
法人課税では、賃上げに係る税制を拡充する。大企業等においては、継続雇用者の給与総額を3%以上増加させた場合、15%の税額控除とし、4%以上増加の場合は+10%、教育訓練費を2割以上増加の場合は+5%、それぞれ控除率を上乗せし、最大30%の控除を適用する。一定規模以上の大企業に対しては、給与の引上げの方針、取引先との適切な関係の構築の方針等を公表していることを要件化する。
中小企業においては、全雇用者の給与総額を1.5%以上増加させた場合、15%の税額控除とし、2.5%以上増加の場合は+15%、教育訓練費を1割以上増加の場合は+10%、それぞれ控除率を上乗せし、最大40%を控除する。また、オープンイノベーションの促進に係る税制を拡充し、取得した株式の保有期間の見直しを行った上で、2年延長。5G導入促進税制を見直し、税額控除率の見直しを行った上で、3年延長する。
資産課税では、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を見直し、限度額を最大 1000 万円に見直した上で、2年延長する。そのほか、納税環境整備では、税理士制度の見直し、 登録免許税及び自動車重量税におけるキャッシュレス納付制度の創設がある。期限切れ租税特別措置の延長では、住宅用家屋の所有権保存登記等に係る登録免許税の軽減措置を延長(2年)する。これらの改正法の施行日は原則、2022年4月1日となる。