仕入価格「上昇」増加も販売価格への転嫁は進まず

 日本政策金融公庫が、飲食業や理・美容業、クリーニング業など生活衛生関係営業を対象に実施した「価格動向に関するアンケート調査」結果(有効回答数3149社)によると、仕入価格が前年に比べて「上昇した」と回答した企業割合は44.9%と、前年調査を10.1ポイント上回った。業種別にみると、「食肉・食鳥肉販売業」が68.6%と最も高く、次いで、「クリーニング業」(63.7%)、「飲食業」(58.1%)となっている。

 仕入価格上昇の経営悪化への影響は、「影響がある」(「かなり影響がある」20.6%、「ある程度影響がある」63.3%の合計)と回答した企業割合が83.9%と、8割超を占めた。「影響はない」との回答企業割合は4.2%に過ぎない。「影響がある」との回答企業割合を業種別にみると、「食肉・食鳥肉販売業」が93.5%と最も高く、次いで、「ホテル・旅館業」(91.2%)、「クリーニング業」(85.7%)となっている。

 仕入価格上昇分の販売価格への転嫁は、「全く転嫁できていない」と回答した企業割合が62.6%で、6割超を占めた。業種別にみると、 「公衆浴場業」が78.4%と最も高く、次いで、「クリーニング業」 (73.1%) 、「ホテル・旅館業」(69.2%) となっている。対して、「一部転嫁できている」は24.7%、「概ね転嫁できている」は7.0%、「全て転嫁できている」は2.1%だった。

今後1年間の仕入価格の見通しは、「上昇する」と回答した企業割合が50.3%と、半数超を占めた。業種別にみると、「クリーニング業」が69.5%と最も高く、次いで、「ホテル・旅館業」(67.9%)、「飲食業」(64.3%)。販売価格を前年に比べ「引き上げた」企業は12.7%と、前年調査を0.6ポイント上回った。業種別にみると、「食肉・食鳥肉販売業」が38.5%と最も高く、次いで、「映画館」(17.7%)、「ホテル・旅館業」(17.4%)となっている。

 販売価格引き上げの理由(2つまで回答)は、「仕入価格上昇分の転嫁」が55.1%と最も高く、次いで、「商品・サービスの付加価値向上」(37.8%)、「商品・サービスの変更」(25.7%)。今後1年間の販売価格の見通しは、「引き上げる」と回答した企業割合が14.1%と、前年調査を6.5ポイント上回った。業種別にみると、「食肉・食鳥肉販売業」が38.5%と最も高く、次いで、「公衆浴場業」(18.6%)、「クリーニング業」(18.3%)となっている。

 同調査結果は↓https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/seikatsu21_1221a.pdf