法人経済産業研究所はこのほど、「『2040年問題』、『2054年問題』をどう乗り切るか」と題した新春特別コラムを発表した。それによると、先般11月30日、総務省は「2020年国勢調査」の確定値を公表した。今回の国勢調査において、最も衝撃的だったのは、生産年齢人口(15歳~64歳)の減少スピードだ。国勢調査において、生産年齢人口のピークは1995年の約8716万人だが、2020年で約7508万にまで減少していた。
1995年から2020年の25年間において、生産活動を主に担う生産年齢人口が約1200万人も減少していたことを意味する。しかしながら、これは2040年問題の序章に過ぎない。そもそも、人口問題でこれから日本経済は「2025年問題」、「2040年問題」、「2054年問題」に直面する。まず「2025年問題」は、団塊の世代が全て75歳以上になり、それ以降、医療費・介護費の膨張圧力が一層増す分岐点の年である。
次に、「2040年問題」とは、2025年から2040年という僅か15年間において、現役人口(20歳~64歳)が約1000万人も減少するという問題だ。国立社会保障・人口問題研究所の「将来人口推計」では、2025年に6634万人となる現役人口が、2040年には5542万人にまで減少するという。年間平均の減少スピードは約73万人であり、これは1995年から2020年における生産年齢人口の減少スピード(年間平均48万人)よりも大きい値だ。
この事実は、積極的な移民の受け入れでもしない限り、日本経済は深刻な労働力不足に直面する可能性を示唆する。しかも事態が深刻なのは、生産年齢人口が急速に減少するにもかかわらず、75歳以上人口は2054年まで増加を続けるという問題である。これが「2054年問題」であり、上記の「将来人口推計」において、75歳以上の人口は2054年に2449万人となり、全人口に占める75歳以上の割合は約25%に達する。
すなわち、国民4人のうち1人が75歳以上の高齢者になり、人類の歴史上、日本は「超々高齢化社会」という未知の領域に突入する。そのとき、財政や社会保障はどのような姿になっているのか。現役世代(20歳~64歳)の租税や保険料の負担能力にも限界があり、まったく異なる姿になっている可能性も否定できない。現在、65歳以上の人々を高齢者と定義することが多いが、75歳以上を高齢者と定義するように変わっているかもしれない。
いずれにせよ、コロナ収束の「糸口」が見え始めている今、コロナ禍で議論が停滞してしまった財政・社会保障改革の方向性を含め、人口における3つの問題(「2025年問題」、「2040年問題」、「2054年問題」)にどう対処するのか、われわれは改めて考える時期にきていると思われる。人口減少・少子高齢化の世界的なトップランナーである日本がこの3つの問題をどう乗り切っていくのか、真剣な議論が望まれる。
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