2020年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値額)は5086円となったことが、日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較」で分かった。前年と比べると、実質ベースで+1.1%上昇。経済が大きく落ち込む中で政策的に雇用維持を図ったことが労働生産性を下押しする要因だが、飲食店や宿泊業などを中心に営業時間の短縮や営業自粛の動きが広がり、全体でも労働時間短縮が進んだことが労働生産性を押し上げた。
日本の労働生産性は、米国(80.5ドル/8282円)の6割(61.4%)の水準に相当し、これは1988年とほぼ同じ水準。主要先進7ヵ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いている。OECD加盟38ヵ国の中でも23位(2019年は21位)となり、1970年以降最も低い順位になっている。また、就業者一人当たりでみた2020年の日本の労働生産性は、7万8655ドル(809万円/購買力平価(PPP)換算)だった。
日本の一人当たり労働生産性は、ポーランド(7万9418ドル/817万円)やエストニア(7万6882ドル/791万円)といった東欧・バルト諸国と同水準となっており、西欧諸国と比較すると、労働生産性水準が比較的低い英国(9万4763ドル/974万円)やスペイン(9万4552ドル/972万円)にも水をあけられている。OECD加盟38ヵ国でみると28位(2019年は26位)と、1970年以降最も低い順位になっている。
日本の製造業の労働生産性水準(就業者一人当たり付加価値/2019年)は、9万5852ドル(1054万円/為替レート換算)。日本の労働生産性水準は、米国(14万8321ドル)の65%に相当する。OECDに加盟する主要31ヵ国の中でみると、18位だった。1955年及び2000年をみると主要国で最も労働生産性が高かったものの、年を追うごとに後退。その後順位がやや改善したものの、2018・2019年は18位になっている。
なお、主要国の労働生産性(2021年4~6月期)を「コロナ前」と比較すると、OECD加盟主要35ヵ国中19ヵ国でプラスとなった(実質ベース・2019年4~6月期対比)。日本は-2.8%で、35ヵ国中32位。米国は、2021年4~6月期の労働生産性が「コロナ前」を5.6%上回っている。しかし、足もとでは経済の正常化に伴って雇用が回復しつつあることが生産性上昇を下押しする要因になり、労働生産性上昇率が鈍化してきている。
「労働生産性の国際比較2020年」は↓
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/press_2021_new.pdf