9月中間決算のGC注記・重要事象の記載は87社

 東京商工リサーチがこのほど発表した「上場企業のGC注記・重要事象の記載調査」結果によると、2021年9月中間決算を発表した上場企業約2380社のうち、決算短信で「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン注記)」(GC注記)を記載した企業は21社だった。また、GC注記に至らないが、事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載する「継続企業に関する重要事象」(重要事象)は66社だった。

 GC注記と重要事象を記載した企業数は合計87社で、2021年3月期本決算(92社)から5社減少。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、業績不振が表面化した2020年3月期(83社)以降、初めて減少に転じた。緊急事態宣言などが解除され、経済活動は本格的な回復が期待される。上場企業でも荷動きが活発な海運や、資源高の追い風を受ける商社など、大手を中心に収益が改善する企業も目立つが、好調企業と不振企業の二極化が進展している。

 GC注記・重要事象を記載した87社を理由別に分類してみると、79社(構成比90.8%)が重要・継続的な売上減や損失計上、営業キャッシュ・フローのマイナスなどの「本業不振」を理由としている。次いで、「新型コロナによる悪影響」を理由としたのが45社(同51.7%)と半数を超えた。以下、「財務制限条項に抵触」10社、「資金繰り悪化・調達難」と「債務超過」がともに9社と続く。

 GC注記・重要事象を記載した87社を業種別にみると、「製造業」が29社(構成比33.3%)で最多。以下、「サービス業」が20社(同22.9%)、外食業者16社を含む「小売業」が19社(同21.8%)、「証券・商品先物」が5社(同5.7%)、「情報・通信業」が4社(同4.6%)と続く。コロナ禍の影響が大きいサービス業と小売業が全体を押し上げ、上位3業種で68社(同78.1%)と、全体の約8割を占めた。

 新型コロナを要因の一つにあげた45社を業種別にみると、「小売業」が18社(構成比40.0%)で最多。このうち、外食産業が16社を占めた。次いで、「サービス業」が14社(同31.1%)で続き、ホテルなど観光関連の事業を手掛ける企業への影響の大きさを反映している。市況低迷のあおりを受け、業績悪化に影響した「製造業」は7社(同15.5%)、販売先の不振で自社の業績も悪化した「卸売業」が3社(同6.6%)と続く。

 同調査結果は↓https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20211210_01.html