賞与計算、前月に給与の支払いがない場合は要注意!

 冬季賞与の時期が近付いてきた。賞与に対する源泉所得税の計算は、通常、(1)前月の給与から社会保険料等を差し引く、(2)「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で(1)の金額と扶養親族等の数に当てはまる税率(賞与の金額に乗ずべき率)を確認する、(3)賞与から社会保険料等を差し引いた金額に(2)の税率をかける、というように計算する。この方法で計算した金額が、賞与から源泉徴収する所得税等の税額となる。

 上記(1)に「前月」の給与から……とあるが、もし、前月に休職等の理由で給与の支払いがなかった場合は、通常とは異なる方法で賞与から源泉徴収する税額を計算することになる。それは、イ.:賞与から社会保険料等を差し引いた金額を6で割る、ロ.:イ.の金額を『給与所得の源泉徴収税額表(月額表)』に当てはめて税額を求める、ハ.:ロ.の金額を6倍にした金額、が賞与から源泉徴収する税額になる。

 ちなみに、賞与の計算期間が半年を超える場合には、賞与から社会保険料等を差し引いた金額を12で割って、同じ方法で計算する。そして求めた金額を12倍したものが源泉徴収する税額になる。このように、通常の賞与の源泉徴収税額の計算方法とは違うので、前月の給与の支払いが0円だからといって、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の賞与の金額に乗ずべき率は0%でいい、などと勘違いしないでほしい。

 また、前月の給与が極端に少ないなどの理由で、賞与の金額が前月の給与の10倍を超える場合も計算方法が異なる。イ.:賞与から社会保険料等を差し引いた金額を6で割る、ロ.:イ.の金額に前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額を加算する、ハ.:ロ.の金額を「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に当てはめて税額を求める、ニ.:ハ.の金額から「前月の給与に対する源泉徴収税額」を控除する。

  さらに、ホ.:ニ.の金額を6倍にした金額、が賞与から源泉徴収する税額になる。こちらの場合も、もし賞与の計算期間が半年を超える場合には、賞与から社会保険料等を差し引いた金額を12で割って、同じ方法で計算する。そして求めた金額を12倍したものが源泉徴収する税額になる。前月に給与の支払いがない場合や賞与の金額が前月の給与の10倍を超える場合は、滅多にないケースだと思うが、賞与計算をするときは注意したい。