日本政策金融公庫がこのほど発表した「取引先海外現地法人の業況調査」結果(有効回答数1740社)によると、業績面については、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、前期決算期の「売上高増加企業割合」は29.1%と前回2020年調査から10.3ポイント低下、「損益改善企業割合」も34.8%と前回調査から2.8ポイント低下し、ともに2011年の調査開始以来最低水準となった。
一方で、今期決算期における「売上高増加企業割合」(予想)は47.3%で、前回調査(2020 年8月)から28.7ポイント上昇、「損益改善企業割合」(予想)は40.9%で前回調査から 22.8ポイント上昇する結果となり、新型コロナからの業績改善を見込む企業が増加した。また、「売上高減少企業割合」(予想)は19.6%で、前回調査から34.2ポイントもの大幅低下となっている。
直面している課題等(3つまで回答)について、雇用関連では、「賃金の上昇」(26.6%)、「従業員の教育」(18.0%)の回答割合が前回からそれぞれ7.0ポイント、8.6ポイント低下した一方、「従業員の確保」(24.7%)は前回から 5.8 ポイント上昇した。販売関連では、「販売数量の減少」(21.4%)の回答割合が前回から17.9ポイントの大幅な減少となった一方、「販売先の減少」(23.6%)は前回から10.2ポイント上昇した。
サプライチェーン関連では、「仕入原価の上昇」(21.5%)、「原材料の調達」(11.7%)の回答割合が前回からそれぞれ12.1ポイント、5.0ポイント上昇した。また、新型コロナ発生以降、「勤務体制」、「販売戦略」を中心に事業内容を見直した企業が約7割にのぼった。また、「生産の見直し」を行う企業の一部では生産移管の動きがあり、生産移管先としては日本が 49.1%と最も多くなっている。
今後3年程度の事業展開における有望国・地域としては、「ベトナム」(33.5%)が8年連続で1位。次いで、「中国」(14.0%)、「タイ」(8.9%)、「インド」(7.7%)。理由(3つまで回答)として、ベトナムは「現地市場の将来性が高い」(45.0%)と最多、次いで「労働力が豊富」(39.4%)、「既存取引先が既に進出」(36.1%)。中国、インドは、「現地市場の将来性が高い」が、タイは「既存取引先が既に進出」が最も多い理由となっている。
同調査結果は↓