2021年中に賃金を引上げた企業は80.7%~厚労省

 厚生労働省が19日に公表した「2021年賃金引上げ等の実態に関する調査」結果によると、2021年中に1人平均賃金を「引き上げた(予定含む)」企業は、前年比▲0.8ポイント減の80.7%となった。1人平均賃金とは、常用労働者の所定内賃金(基本給)の1人当たり平均額で、残業代やボーナスは含まれない。同調査は、常用労働者が100人以上いる企業を対象に今年8月時点で実施し、1708社から有効回答を得たもの。

 1人平均賃金を「引き下げた(予定含む)」企業は前年比▲1.1ポイント減の1.0%、賃金の改定を「実施しない」は同0.6ポイント増の10.1%となっている。2021年中の1人平均賃金の改定額は前年を246円下回る4694円、1人平均賃金の改定率は同▲0.1ポイント減の1.6%。改定額を企業規模別にみると、「5000人以上」は5202円、「1000~4999人」4937円、「300~999人」4753円、「100~299人」4112円だった。

 管理職の定期昇給制度の有無をみると、「制度あり」の企業が73.0%、「制度なし」が25.5%。制度ありの企業で2021年中に「定昇を行った・行う」企業は63.1%、「定昇を行わなかった・行わない」企業が9.3%。一方、一般職では、「定昇制度あり」の企業が81.6%、「定昇制度なし」の企業が16.9%。制度ありの企業で2021年中に「定昇を行った・行う」企業は74.6%、「定昇を行わなかった・行わない」企業が6.4%だった。

 定昇制度がある企業のうち、「定昇とベア等の区別のある」企業で、2021年中に「ベアを実施した」企業は、管理職で15.1%、一般職で17.7%。また、2021年中に賃金の改定を実施・予定していて額も決定している企業における「賃金カットを実施・予定している」企業は7.7%で、対象者別にみると、「管理職のみ」の企業が29.0%、「一般職のみ」が18.8%、「管理職一部と一般職一部」が52.1%となっており、「一般職全員」は14.7%だった。

 2021年中に賃金の改定を実施・予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」とした企業が47.3%(前年49.0%)と最も多く、「重視した要素はない」(17.0%)を除くと、次いで「雇用の維持」が9.0%(同8.0%)、「労働力の確保・定着」が8.2%(同8.0%)、「親会社または関連会社の改定の動向」が5.0%(同4.0%)などとなっている。

 同調査結果の概況は↓

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/21/dl/10.pdf