人事院が公表した「2020年民間企業の勤務条件制度等調査」結果(有効回答数4076社)によると、正社員がICT(情報通信技術)を利用して行う在宅勤務(テレワーク)を実施している企業は33.3%となった。このうち、テレワークに対する経費を負担している企業の割合は34.7%で、内訳は、42.9%の企業が経費を「給与」として支給しており、給与以外では、「福利厚生費」が7.9%、「その他」が49.2%だった。
同調査は、国家公務員の勤務条件等を検討するための基礎資料を得ることを目的として、毎年行われている。負担している経費の支給方法をみると、(1)経費の費目を特定している企業では、「実費を毎月支給」が23.8%、「定額を毎月支給」が22.5%、「その他」が53.8%に対し、(2)経費の費目を特定していない企業では、「定額を毎月支給」が41.4%、「実費を毎月支給」が11.6%、「その他」が47.0%で定額支給の割合が多くなっている。
さらに、正社員の在宅勤務に対して経費を負担し、かつ、定額支給している企業の支給金額をみると、「3000円以上4000円未満」が全体の34.7%を占め最も多く、次いで「5000円以上6000円未満」が26.4%、「2000円以上3000円未満」が15.6%などとなっており、「1万円以上1万円未満」を支給している企業も9.2%あった。平均額は4101円。また、最高額は1万円、最低額は1千円だった。
なお、在宅勤務手当の支給に係る課税の取扱いに関しては国税庁がすでに公表しており、在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭の場合は、従業員に対する給与として課税する必要はないと説明している。上記の集計でいうと、「実費を毎月支給」している企業は計35.4%だったが、これらの企業は給与課税の必要はないことになる。
しかし、企業が従業員に在宅勤務手当(従業員が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないもの(例えば、企業が従業員に対して毎月5千円を渡切りで支給するもの))を支給した場合は、従業員に対する給与として課税する必要がある、としている。したがって、「定額を毎月支給」のケースでは、給与課税される可能性があるので注意が必要となろう。
同調査結果は↓