2021年上半期の食品産業の景況は持ち直しの動き

 日本政策金融公庫が7月前半に実施した「食品産業動向調査」結果(有効回答数2880社)によると、2021年上半期の食品産業の景況DIは、前回調査(2020年下半期実績)から15.2ポイント上昇し▲9.3となった。2021年下半期の見通しは、2021年上半期からさらに 4.1ポイント上昇し▲5.2となっている。景況DIは、新型コロナウイルス感染症拡大前(2019年上半期▲16.3)を上回る水準となり、総じて持ち直しの動きがみられる。

 業種別では、製造業、卸売業、飲食業で上昇し、マイナス幅は縮小。他方、2020年上半期以降プラス値となっていた小売業は、30.4ポイント低下し0.0となった。2021年下半期の業種別見通しは、2021年上半期に続き、製造業、卸売業、飲食業で上昇、小売業で低下の動きとなった。中でも、2018年下半期以降マイナス値が続いていた飲食業は、26.3ポイント上昇し9.5とプラス値に転換する見通しであり、持ち直しの動きがみられる。

 新型コロナによる売上高への影響は、製造業と卸売業でマイナスの影響とする割合が低下。一方、小売業では、マイナスの影響とする割合(44.8%)が上昇し、「プラスの影響がでている」(38.6%)を上回った。他方、飲食業では前回調査に引き続き、約9割が売上高にマイナスの影響があるとする回答となった。製造業を売上規模別にみると、売上高5億円未満の企業の約8割で売上高にマイナスの影響があるとする回答となった。

 SDGsに「既に取り組んでいる」との回答は、小売業(42.0%)で最も高く、次いで飲食業(23.7%)、製造業(21.7%)、卸売業(11.7%)となった。SDGsに「既に取り組んでいる」または「取組みを検討している」と回答した先の具体的な取組み内容(3つまで回答)は、全業種で「地域への貢献活動」が最も高く、次いで、製造業、卸売業、小売業で「環境保護活動」、飲食業で「商品・サービスの開発・見直し」が続いた。

 SDGsについて「内容は知っているが、取組みを検討していない」、「言葉は知っているが、詳しくは知らない」または「全く知らない」と回答した先が、取り組む際の課題(3つまで回答)は、全業種で「取り組む余裕がない」が最も高く、さらに、製造業を売上規模別でみると、売上規模が小さくなるほど「取り組む余裕がない」の割合が高くなる傾向がうかがえる。また、売上100億円以上の企業では、「社内での理解度が低い」が最も高くなった。

 同調査結果は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics210930a.pdf