中小企業の人手の状況認識、「適正」が58.9%と最多

 信金中央金庫が、全国中小企業景気動向調査(2021年7~9月期実績)の中で実施した「中小企業の雇用環境についての特別調査」結果(有効回答数1万3734社)によると、人手の状況の認識については、「適正」が58.9%と最多、「不足」が36.9%で続いた。「過剰」は4.1%にとどまる。「不足」の内訳としては、「現場作業関係」が25.1%と過半を占め、以下、「営業・販売関係」(8.5%)、「経理・財務・管理関係」(2.3%)などが続いた。

 都道府県別の最低賃金が10月1日から順次、引き上げられるが、最低賃金引上げが雇用(正規社員、非正規社員)に与える影響については、正規社員については70.8%、非正規社員については48.0%で「変わらない」との回答になった。懸念されている「(雇用を)減らす」については、正規社員で2.3%、非正規社員で3.1%にとどまった。なお、「もともといない」は、正規社員で5.3%、非正規社員で30.6%になった。

 人材確保のための職場環境改善へ向けて実施していること(3つまで回答)については、「人材育成」が26.9%で最も多く、次いで、「長時間労働の是正」(23.5%)、「賃金引上げと生産性の向上」(21.0%)、「女性・若者が活躍しやすい環境整備」(16.7%)、「高齢者の就業促進」(11.8%)が続いた。対して、「特にない」は38.1%と、全体の4割弱が人材確保のための職場環境改善策を実施していないとの結果になった。

 人材確保が難しくなるなかにおける生産性向上に向けた取組み(3つまで回答)については、「働きやすい環境や制度の整備」が26.0%と最も多く、以下、「人材育成の実施」が20.5%で続いた。対して、「特にない」が39.8%となった。人材育成や確保のために、地域金融機関に対して融資以外の点で求めること(3つまで回答)については、「補助金・助成金の紹介」が44.7%と、ほかの選択肢と比較し圧倒的に多くの回答を集めた。

 同特別調査結果は↓

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8421/ir_material1/169531/00.pdf