東京商工リサーチが、同社の倒産データ(普通法人)と2021年3月に国税庁が発表した統計法人税表(2019年度)を基に実施した「倒産発生率調査」結果によると、2019年度は0.25%(前年度0.24%)だった。倒産発生率が前年度を上回ったのは、リーマン・ショックの2008年度以来、11年ぶり。2019年度は人手不足や消費増税、新型コロナの影響などで企業倒産が前年度比6.4%増と、11年ぶりに増勢に転じたことが大きな要因。
リーマン・ショックの2008年度の倒産発生率は0.53%で、2019年度は半分に満たないが、中小企業金融円滑化法施行後の2009年度以降は右肩下がりをたどっていた。2015年度の0.28%以降、5年連続0.20%台で推移。2014年度以降、企業倒産は1万件を割り込み、2018年度まで10年連続で減少をたどっていたが、2019年度は、8631件(前年度8110件)と11年ぶりに増加に転じた。普通法人の倒産発生率もこの動きに連動している。
都道府県別にみると、2018年度の倒産発生率のワーストは「宮城県」の0.291%だったが、2019年度は「青森県」が手形割引業者の連鎖倒産などで倒産が前年度比1.9倍増と急増して0.337%と急上昇した。次いで、「宮城県」が0.334%で、東北が上位を占めた。東日本大震災の復興需要がピークアウトし、倒産が増加したことが要因。3位は倒産が増加した「島根県」で倒産発生率は0.327%だった。
一方、2016年の熊本地震で「熊本県」の倒産発生率が2016年度(0.101%)から2018年度(0.118%)まで最も低かった。被災企業などを対象とした国や自治体、金融機関の支援策で倒産が抑制され、他の都道府県より低率を維持していたが、2019年度は「沖縄県」が最も低率となった。2016年度以降、年度倒産は40件前後で推移しているが、普通法人の申告法人数が2017年度から毎年1000社以上増加したことが大きい。
産業別の倒産発生率をみると、2015年度以降、5年連続で「卸売業」(倒産発生率0.470%)がワースト。流通の変化などで普通法人の申告法人数が年々減少し、2017年度以降は減少幅が広がる一方で、2019年度の普通法人の倒産が増加に転じたことが影響した。次いで、「情報通信業」(同0.416%)で、ソフトウェア業などは人手不足や人件費高騰、過小資本などで倒産が増えた。
2019年度の倒産発生率調査結果は↓