株式等の譲渡による所得以外の所得からの控除等(損益通算)については、(1)株式等の譲渡損失(赤字)の金額と他の所得の黒字の金額との通算不可、(2)他の各種所得の損失(赤字)の金額と株式等の譲渡所得等の黒字の金額との通算不可、(3)上場株式等に係る譲渡所得等と一般株式等に係る譲渡所得等との通算不可、(4)上場株式等に係る譲渡損失(赤字)の金額と上場株式等に係る配当所得等の金額との損益通算となる。
(1)については、上場株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額は、他の上場株式等に係る譲渡所得等の黒字の金額から控除し、一般株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額は、他の一般株式等に係る譲渡所得等の黒字の金額から控除するが、その控除をしてもなお控除しきれない赤字の金額は、(4)の場合を除き、給与所得など他の各種所得の金額から差し引くことはできない。
(2)は、不動産所得など他の各種所得の損失(赤字)の金額を、上場株式等に係る譲渡所得等又は一般株式等に係る譲渡所得等の黒字の金額から控除することはできない。(3)は、 上場株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額を一般株式等に係る譲渡所得等の黒字の金額から控除することはできない。また、一般株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額は、一定の場合を除き、上場株式等に係る譲渡所得等の黒字の金額から控除することはできない。
上記(3)の一定の場合とは、特定中小会社の発行株式に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除である。(4)については、上場株式等を金融商品取引業者等を通じて譲渡したことにより生じた譲渡損失(赤字)の金額は、確定申告により、その年分の上場株式等に係る配当所得等の金額(上場株式等の配当等に係る配当所得については、申告分離課税を選択したものに限る)と損益通算することができる。
上場株式等の配当等に係る配当所得についての申告分離課税の選択及び上場株式等の譲渡損失と上場株式等に係る配当所得等との損益通算は、確定申告書にその旨を記載するとともに、一定の明細書等を添付することにより行うことになる。