2ヵ所以上から給与を得ている人の源泉徴収に注意!

 会社の役員などの中には、2ヵ所以上の会社から給与を得ている人がいるが、こうしたケースでは源泉徴収に注意が必要だ。この場合には、まず、その人に支払う給与が主たる給与になるか、従たる給与になるかを確認をしなければならない。主たる給与とは、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与をいい、主たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の「甲欄」で求める。

 従たる給与とは、主たる給与の支払者以外の給与の支払者が支払う給与をいい、従たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の「乙欄」で求める。なお、主たる給与の支払者に申告した源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族を、年の中途で従たる給与の支払者に申告替えすることはできるが、従たる給与の支払者に申告した源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族を年の中途で主たる給与の支払者に申告替えすることはできない。

 また、2以上の給与の支払者から給与の支払を受ける人で、主たる給与の支払者から支給されるその年中の給与の金額(給与所得控除後の給与等の金額)が下記の(1)と(2)の金額の合計額に満たないと見込まれる人が、従たる給与の支払者のもとで、配偶者(特別)控除(源泉控除対象配偶者について控除を受けるものに限る)や扶養控除を受けるためには、「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出する必要がある。

 ただし、「従たる給与についての扶養控除等申告書」の提出がある場合に、月額表の乙欄を使って給与や賞与に対する源泉徴収税額を求めるときは、乙欄に記載されている税額から申告されている扶養親族等の数に応じ、扶養親族等1人につき1610円を控除する。また、日額表の乙欄を使って源泉徴収税額を求めるときは、乙欄に記載されている税額から申告されている扶養親族等の数に応じ扶養親族等など一人につき50円を控除する。

 なお、原則として従たる給与については年末調整できないので、所得者本人が確定申告することにより所得税及び復興特別所得税の精算を行う必要がある。また、上記の(1)は、主たる給与の支払者から支給される給与につき控除される社会保険料等の額、(2)は、その人の障害者控除額、寡婦控除額、ひとり親控除額、勤労学生控除額、配偶者(特別)控除額、扶養控除額及び基礎控除額の合計額となる。