東京商工リサーチが発表した「新型コロナウイルスに関する調査」結果(有効回答数1万385社)によると、新型コロナ感染拡大の影響に、歯止めがかかっていないことが分かった。7月の売上高をコロナ前(2019年7月)と比べると、66.9%の企業で落ち込んでいる。宿泊業や飲食業では、4割超の企業で売上高が「半減以下」だった。長引くコロナ禍では対面型サービスを展開する業種を中心に、経営面で大きな打撃を引きずっている。
ただ、製造業を中心に、コロナ前を上回る売上高に回復したとの回答も相次いだ。一部業種では原材料価格の高騰に加え、人件費の上昇もあり、今後は売上高と同時に、収益向上もカギになってくる。資金調達のニーズは、中小企業の57.0%が「ない」と回答。コロナ禍では資金繰り支援に重点が置かれてきたが、時間の経過とともに資金繰り支援だけでなく、本業支援などの経営改善につながるサポートプログラムも求められている。
新型コロナの発生が企業活動に及ぼす影響は、最多が「影響が継続」で71.1%。一方、「影響が出たがすでに収束」は9.1%。また、コロナ前の2019年7月を100とした2021年7月の売上高は、「100以上」は33.0%で、66.9%が減収。規模別では、大企業の61.5%、中小企業の7.8%が減収。業種別では、「宿泊業」の44.6%、「飲食業」の40.8%と、それぞれ4割を超える企業が売上高「50」以下だった。
コロナ禍の収束が長引いた場合、「廃業」(すべての事業を閉鎖)を検討する可能性が「ある」は6.5%、「ない」は93.4%だった。「ある」は前回調査(6月)より0.5ポイント改善した。規模別では、大企業で「ある」と回答した企業は1.1%にとどまったが、中小企業は7.6%だった。引き続き中小企業の「廃業検討率」は大企業よりも高位だったが、前回調査より0.6ポイント改善し7%台となった。
廃業検討の可能性が「ある」と回答した企業を業種別にみると、「織物・衣服・身の回り品小売業」の38.1%で最も高く、以下、旅行や葬儀、結婚式場などを含む「その他の生活関連サービス業」の29.1%、「飲食店」の26.9%、「宿泊業」の25.5%と続く。また、コロナ禍の収束が長引いた場合、再生支援協議会や事業再生ADR、民事再生法などを活用して「事業再生」を検討する可能性は「ある」が4.8%だった。
同調査結果は↓