財務省が公表した、2021年6月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、前年度末(2021年3月末)からは4兆1735億円増えて1220兆6368億円となり、過去最大を更新した。新型コロナウイルス感染の拡大を受けて編成された2021年度予算では、追加歳出や歳入不足の財源を全て国債の発行に頼っており、さらに今後の経済対策への財政出動が予想され、国の財政はより厳しい状況になりそうだ。
6月末の国の借金は、2021年3月末に比べ、国債は約▲7.4兆円減の約1066.8兆円で全体の約87%を占め、うち普通国債(建設国債、赤字国債等)は、約▲4.6兆円減の約942兆円となった。その内訳は、長期国債(10年以上)が約8.5兆円増加して過去最大の約723.2兆円、中期国債(2年から5年)も約5.7兆円増の約164.9兆円と増加したが、短期国債(1年以下)が約▲18.8兆円減の約53.9兆円となって全体を押し下げた。
この「国の借金」1220兆6368億円は、2021年度一般会計予算の歳出総額106兆6097億円の約11.4倍、同年度税収見込み額57兆4480億円の約21.2倍である。年収500万円のサラリーマンが1億600万円の借金を抱えている勘定だ。また、わが国の今年8月1日時点での推計人口1億2530万人(総務省統計局の概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、2021年3月末時点の約970万円から約974万円に増加している。
わが国の公債残高(普通国債残高)は年々増加の一途を辿っているが、2021年6月末実績の公債残高約942兆円が、2021年度末(当初予算ベース)では約990.3兆円が見込まれる。2021年度一般会計税収予算額約57兆円の約17.3年分に相当し、国民1人当たり約790万円、4人家族で約3160万円にのぼり、将来世代に大きな負担を残すことになる。ちなみに、国及び地方の長期債務残高は2021年度末で約1212兆円にのぼる見込み。
2021年6月末現在の国債及び借入金等の現在高は↓