東京商工リサーチが、国税庁が2021年3月26日に公表した「国税庁統計法人税表」(2019年度)を分析したところによると、赤字法人(欠損法人)は181万2332社だった。全国の普通法人276万7336社のうち、赤字法人率は65.4%(前年度66.1%)で、前年度から0.7ポイント改善した。2011年から9年連続で改善し、調査を開始した2005年以降では最低となったことが分かった。
赤字法人率は、リーマン・ショック後の2010年度に75.7%を記録したが、その後、9年連続で減少をたどっている。特に、2012年度から2017年度までは6年連続で1.0ポイント以上改善したが、2018年度は0.5ポイントの改善にとどまり、2019年度は0.7ポイントの改善となった。ただ、2020年度は新型コロナの感染拡大が深刻化しており、企業業績に与える影響が懸念されている。
都道府県別では、全国の赤字法人率の65.4%を上回ったのは22都府県、下回ったのは25道府県だった。赤字法人率の最低は、4年連続で「沖縄」の60.8%(前年度59.7%)。建設投資に占める公共工事の割合が高い沖縄では、公共工事受注のため赤字決算を避ける傾向があるほか、観光やインバウンド需要が好調で赤字法人率の低さに影響したとみられる。ただ、赤字法人率は2年連続で悪化し、3年ぶりに60%台に乗せた。
次いで、「佐賀」62.1%、「青森」62.2%、「大阪」62.3%(同63.3%)、「福岡」62.7%の順。一方、赤字法人率のワーストは「徳島」の73.0%で、13年連続でワーストが続く。次いで、「長野」70.0%、「栃木」68.9%、「香川」68.8%の順。徳島は、地場産業の木工関連の不況に加え、少子高齢化や人口減少で飲食業などのサービス業他の業績低迷が続くほか、医療法人・福祉関係では競合もあり、赤字法人率の高さにつながっている可能性がある。
都道府県別の赤字法人数は、34道府県で減少。減少率の最大は、「福島」で前年度比2.3%減(2万5396→2万4807社)。次いで、「富山」の同1.58%減(1万2420→1万2223社)、「神奈川」の同1.53%減(12万566→11万8,716社)の順。一方、増加率では、「沖縄」が同6.1%増(1万4827→1万5743社)、「熊本」が同2.7%増(2万3051→2万3695社)の順で、8県のうち、5県が増加した九州の増加が目立った。
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