帝国データバンクがこのほど発表した「人手不足に対する企業の動向調査」結果(有効回答数1万992社)によると、7月現在の従業員の過不足状況は、正社員について「不足」していると回答した企業は40.7%となった。2019年7月の水準と比較すると7.8ポイント下回っているものの、2020年7月からは10.3ポイント増加。正社員の人手不足割合は、2020年5月(29.1%)を底にして再び上昇傾向がみられる。
「不足」していると回答した企業を規模別にみると、「大企業」で46.2%、「中小企業」は39.6%、「中小企業」のうち「小規模企業」は36.2%となった。正社員の人手不足の割合は、全ての規模で2020年5~6月以降上昇傾向が続いている。業種別にみると、少子高齢化などの影響により職人不足が進む「建設」(57.5%)では6割弱が人手不足を感じており、51業種で最も高い割合となった。
一方、非正社員が「不足」していると回答した企業は22.5%(前年同月比5.9ポイント増、2年前比7.3ポイント減)、「適正」は66.5%(同4.3ポイント増、同3.9ポイント増)、「過剰」は11.0%。規模別に非正社員が「不足」している割合をみると、「大企業」は21.7%、「中小企業」は22.7%、「中小企業」のうち「小規模企業」は22.0%となった。人手不足割合は全ての規模で前年同月から上昇し、それぞれ 20%を上回った。
非正社員が「不足」していると回答した企業を業種別にみると、「飲食店」(56.4%)や総合スーパーなどを含む「各種商品小売」(48.8%)といった個人消費関連の業種が上位に並んだ。また、ビルメンテナンスや警備業で不足の割合が高い「メンテナンス・警備・検査」(44.0%)、生産が回復傾向にある製造業向けの引き合いが高まっている「人材派遣・紹介」(41.8%)なども高水準となった。
正社員の人手が「過剰」だとする割合を業種別にみると、観光需要の減退が影響している「旅館・ホテル」が 42.5%でトップ。「旅館・ホテル」は1年前の2020年7月(57.6%)時点でもトップであり、人手過剰感は低下しているものの依然として高水準で推移。また、「医薬品・日用雑貨品小売」や、アパレル関連の「繊維・繊維製品・服飾品卸売」「繊維・繊維製品・服飾品製造」、「出版・印刷」「広告関連」が上位にあがった。
同調査結果は↓