介護人材の不足感は2年連続で少しずつ改善傾向に

 公益財団法人介護労働安定センターがこのほど発表した「2020年度事業所における介護労働実態調査」結果(有効回答数9244事業所)によると、介護事業所における人材の不足感は、年々上昇傾向にあったところ、2020年の事業所全体での不足感は全体で60.8%(前年度65.3%)と前年度に続き改善傾向を示した。職種別でみると、訪問介護員の不足感が80.1%(同81.2%)で最も高く、次いで介護職員の66.2%(同69.7%)だった。

 不足している理由としては、「採用が困難である」が86.6%あり、その原因としては「他産業に比べて、労働条件等が良くない」が53.7%、「同業他社との人材獲得競争が激しい」が53.1%と高くなっている。また、2019年10月1日から2020年9月30日までの1年間において、2職種計(訪問介護員、介護職員)の離職率は14.9%(前年度15.4%)で、2015 年度以降最低の離職率となった。

 全従業員数(無期雇用職員と有期雇用職員の合計)に占める65歳以上の労働者の割合は12.3%で、職種別では訪問介護員が25.6%と最も割合が高く、4人に1人が65歳以上。次いで看護職員の13.1%、介護職員の9.4%となっている。定年制度の有無では、「定年制度あり」の事業所が80.6%。そのうち定年到達後の継続雇用制度導入は、「再雇用制度」が63.7%、「勤務延長制度」が26.1%と、約8割の事業所で導入していた。

 外国籍労働者を受け入れている事業所数は8.6%(前年度6.6%)で前年に比べ2.0ポイント増加し、活用が進んでいる状況だった。受け入れている事業所の受入方法は、「技能実習生」が24.2%、「在留資格『介護』」が17.9%、「留学生」が12.2%。また、在留資格 5項目の受入人数でみると、「技能実習生」が41.3%、「在留資格『介護』」が21.3%、「留学生」が18.8%だった。

 一般労働者、管理者の所定内賃金、賞与は、ともに前年より増加。一般労働者の所定内賃金(無期雇用職員、月給の者)は、平均24万3135 円で前年度より8696円の増加。管理者の所定内賃金は、平均38万2036円で同2万6611 円の増加。賞与を支給している事業所における一般労働者(無期雇用職員、月給の者)の平均賞与額は62万6094 円で同2万6588円の増加。管理者の平均賞与額は86万6872円で同11万8213 円の増加となっている。

 同調査結果の概要は↓

http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2021r01_chousa_kekka_gaiyou_0823.pdf