約半数の患者がコロナの影響で「通院は控えたい」

 デロイトトーマツグループがこのほど発表した「コロナ禍での国内医療機関への通院状況・オンライン診療の活用状況に関する調査」結果(有効回答数:患者5000人、医師229人)によると、COVID-19により患者の通院に対する気持ちは変化していることが分かった。不必要な通院を控える可能性があり、通院頻度にかかわらず全体では48.4%と約半数の患者が「なるべく通院は控えたい」と回答している。

 厚生労働省の2020年4月の事務連絡に基づく「電話再診」、「遠隔健康医療相談」、「オンライン受診勧奨」、「オンライン診療」の特例措置が開始された後、6月時点での利用状況として、オンライン診療の認知率が43.9%と最も「高い」一方、実際に利用しているトライアル率は4.2%と最も「低い」。電話再診については認知率が34.5%とオンライン診療に対して「劣る」一方、トライアル率は14.4%と相対的に「高い」水準で利用されている。

 認知率に関しては年齢による大きな差はなく、一部、電話再診に関しては60~70代が「高い」傾向にある。電話再診は70代のトライアル率・利用率が最も「高い」一方、オンライン診療はトライアル率・利用率共に70代が最も「低い」。また、デジタルネイティブ世代の20代でも、認知率・トライアル率ともに他の遠隔医療と比較して相対的に低いことから、オンライン診療に関しては利用上のハードルが存在していると推察される。

 医療機関の状況をみると、病院・診療所ともに、約80%の医師が外来患者(初診・再診)や入院患者が「減少」していると回答しており、患者による受診控えが影響していると想定されている。また、各医療ニーズに対して期待されているソリューション(解決策)について、患者の利便性向上では「オンライン診療」が61%と最も高い結果となったが、医療の質の向上の観点においては16%と低い。

 医療の質の向上においては、「電子カルテ」や「ビッグデータやAI活用診断支援」への期待がそれぞれ45%、37%と高い。また、医師の作業効率向上、コメディカルの作業効率向上の観点からは、「電子カルテ」(各62%、43%)、「音声入力システム」(各35%、26%)、「Web会議システム」(各32%、11%)、「オンライン予約システム」(各26%、19%)などにも期待が広がっている。

 同調査結果は↓

https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20210816.html