帝国データバンクが発表した「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」(有効回答数1万992社)によると、新型コロナ感染症による自社の業績への影響は、「(既に+今後)マイナスの影響がある」と見込む企業は 69.3%(前月比▲2.6ポイント減)となり、最初の緊急事態宣言発出前の2020年2月以来1年5ヵ月ぶりに6割台となった。特に、「今後マイナスの影響がある」は5.3%と、調査開始以降で最も低くなった。
業種別にみると、「マイナスの影響がある」と見込む企業は、「飲食店」が90.9%で最も高く、次いで、「医薬品・日用雑貨品小売」(90.0%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(89.9%)、「旅館・ホテル」(87.8%)、「出版・印刷」(84.5%)が続く。他方、「プラスの影響がある」と見込む企業は、「飲食料品小売」と「教育サービス」がともに 16.7%、以下、「各種商品小売」(15.9%)、「娯楽サービス」(14.7%)が上位に並んだ。
新型コロナウイルスワクチンに関して、接種を希望する従業員の自社での把握の有無は、「把握している」は 66.7%となり、3社に2社が希望者の接種状況について把握している結果となった。内訳は、「希望者はほとんど接種した」が 6.4%、「希望者はある程度接種した」が 25.6%、「希望者もあまり接種していない」が 34.7%。とりわけ、「希望者はほとんど接種した」では、「5人以下」と「1000人超」の企業で1割を超えていた。
他方、任意接種などのため「把握していない」は 28.8%だった。また、ワクチンの接種状況を「把握している」企業を規模別にみると、「大企業」が 60.3%、「中小企業」が 68.0%となり、そのうち「小規模企業」が73.5%となった。特に「小規模企業」では、「大企業」を13.2ポイント、中小企業を5.5ポイントそれぞれ上回っており、企業規模によって把握状況に差異がみられた。
帝国データバンクは、「ワクチン接種の拡大による経済活動の正常化に期待がかかる一方で、変異株などによる新規感染者数の急増は企業活動を行う上で、再び懸念事項になりつつある。引き続き出口を探るような社会情勢となるなか、政府には正確な情報発信や柔軟な対応が求められると同時に、企業や個人は感染対策を行いながら新型コロナウイルスとの共存の可能性を探る意識が肝要となろう」とコメントしている。
同調査結果は↓