東京商工リサーチがこのほど発表した「女性役員比率調査」結果によると、2021年3月期決算の上場企業2220社の女性役員比率は7.4%で、前年(6.0%)より1.4ポイント上昇した。2220社の役員総数は2万4777人(前年比▲1.3%)で、前年(2万5115人)より338人減少した。その一方で、女性役員数は1835人(前年比20.8%増、前年1518人)に増加した。上場企業では女性役員の登用が、少しずつ進んでいる。
2220社のうち、女性役員のいない上場企業は965社で、前年から175社減少(▲15.3%)。構成比は43.4%と7.9ポイント低下した。前年、女性役員数がゼロの1140社のうち、2021年3月期に新たに女性役員が誕生したのは189社(構成比16.5%)だった。女性役員比率が前年より上昇したのは567社(構成比25.5%、前年比11.8%増)。一方、低下は197社(同8.8%、同26.2%増)、前年と同比率は1456社(構成比65.5%)だった。
産業別の女性役員比率は、3年連続全10産業で上昇。女性役員比率の最高は、「電気・ガス業」の11.0%。次いで、「金融・保険業」10.0%で、この2産業が初めて10%台に乗せた。このほか、「水産・農林・鉱業」9.7%、「小売業」9.4%、「サービス業」8.3%と続く。「電気・ガス業」は、役員総数299人のうち、女性役員数は33人(前年29人)、「金融・保険業」は同1951人のうち、同196人(同174人)に、それぞれ増えた。
女性役員ゼロ比率は、「不動産業」が57.1%と最も高く、唯一、50%を超えている。また、女性役員比率も6.2%で、10産業で最も低かった。以下、「卸売業」49.7%、「製造業」46.6%、「運輸・情報通信業」44.7%、「サービス業」41.5%の順。女性役員ゼロ比率は、最低が「電気・ガス業」の10.0%だが、女性役員ゼロは20社のうち、2社にとどまり、女性役員数は33人に増えた。業務上、公共性が高く、他産業に比べ女性役員の登用が進んでいる。
細分類33業種のうち、保険業を除く32業種(構成比96.9%)で女性役員比率が上昇した。女性役員比率の最高は、「石油・石炭製品」の15.0%。石油・石炭製品6社の役員総数73人のうち、女性役員数は11人に増加。次いで、「水産・農林業」13.1%、「保険業」11.1%、「電気・ガス業」11.0%、「銀行業」10.5%、「医薬品」10.4%の順で、6業種で女性役員比率が10.0%を超えた。
同調査結果は↓