中小企業の過半数が事業継続に危機感~信金中金調査

 信金中央金庫がこのほど発表した「中小企業の事業継続についての特別調査」結果(有効回答数1万3760社)によると、現下の状況を受けての、事業継続についての感触については、12.5%が「強く危機を感じている」、44.0%が「やや危機を感じている」と回答し、合計で過半数が危機を感じているとの結果になった。業種別では、旅館・ホテルや飲食店、繊維関連産業を中心に事業継続の危機を感じているとの回答が目立った。

 事業継続を困難化させるものとして重視しているリスク(3つまで回答)については、「仕入や調達の困難化」が26.5%で最も高く、以下、「物流の停止」(20.1%)、「経営者の離脱」(18.0%)、「従業員の参集不能」(17.8%)、「販売先の倒産」(17.6%)が続いた。また、「特にリスクは意識していない」は28.0%だった。業種別では、卸売業で「販売先の倒産」、建設業で「従業員の参集不能」が高くなるなど、まちまちだった。

 災害に備えて取っている対策(3つまで回答)では、「損害保険への加入」が37.2%、「社内の連絡体制の整備」が27.0%。対して、「特に対策は取っていない」は25.9%と、全体の約4分の1が災害対策を取っていないとの結果になった。規模別にみると、規模が小さいほど「特に対策は取っていない」の割合が高くなり、特に4人以下の階層では4割を超えた。業種別では、すべての業種で「損害保険への加入」が最も多かった。

 事業継続計画(BCP)の作成(予定を含む)の状況は、「作成している」が15.7%、「作成していない」が84.3%。作成のきっかけは、「業界団体からの薦め」が4.2%と最も高かった。対して、作成していない理由としては、「BCPについてよく分からない」が31.1%。過去の調査と比べると、作成している企業は上昇傾向にあるが、作成は比較的規模の大きい企業に偏っており、規模の小さい企業では、作成状況に大きな変化はみられない。

 事業継続にあたって日頃から頼りにしている相談先(3つまで回答)については、「税理士・公認会計士」が 57.4%と最も高く、以下、「金融機関」(55.5%)、「業界団体・同業他社」(15.3%)、「商工会・商工会議所」(14.3%)、「取引先」(13.6%)と続いた。対して、「特にない」は 14.1%にとどまった。規模別、業種別にみても、どの階層においても「特にない」は1割から2割程度にとどまっている。

 同調査結果は↓

https://www.scbri.jp/PDFtyuusyoukigyou/scb792021M184.pdf