帝国データバンクがこのほど発表した「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1109社)によると、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に関する自社の取組み状況は、「何らかの施策に取り組んでいる」企業が80.7%となり、5社に4社にのぼったことが明らかになった。他方、任意接種のためなどの理由から「取り組む予定はない」企業は19.3%となった。
ワクチン接種に関する具体的な取組み内容(複数回答)は、「各自の居住地での接種を推奨」が 50.8%でトップ、次いで、「社員が外部の医療機関などに出向いて接種の実施」(32.4%)、接種日または接種後を含む「ワクチン接種のための特別有給休暇などを付与」(32.3%)が 3割台で続き、「大規模接種会場での接種を推奨」(21.9%)、「ワクチン接種に関する従業員向けの情報提供」(16.0%)などが上位に並んだ。
新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響(複数回答)は、「マイナスの影響がある」(「既にマイナスの影響」と「今後マイナスの影響」の合計)と見込む企業は 71.9%(前月比4.0ポイント減)で、調査開始以来2番目に低い水準となった。一方で、「プラスの影響がある」(「既にプラスの影響」と「今後プラスの影響」の合計)は 5.6%(同1.5ポイント増)、「影響はない」(18.2%)は2割近くとなった。
業種別にみると、「マイナスの影響がある」と見込む企業は、空港無線など電気通信に附帯するサービス業を含む「電気通信」が100.0%となり最も高かった。次いで、「旅館・ホテル」(94.4%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(92.1%)、「広告関連」(91.6%)が9割台で続いた。他方、「プラスの影響がある」と見込む企業は、「飲食料品小売」が18.5%で最も高く、「家具類小売」(16.7%)、「教育サービス」(16.1%)が続いた。
ワクチン接種に関しては約8割の企業で何らかの取組みを推進し、半数の企業で居住地での接種を推奨、3割超で特別有給休暇の付与などに取り組んでいる。ワクチン接種の拡大などによって、経済活動は徐々に正常化に向けて動き始めているが、東京都への4度目の緊急事態宣言の決定など先行き不透明な状況が続くとみられる。引き続き、政府・企業・国民が一体となり感染拡大防止策を徹底し、企業活動や国民生活を営むことが重要となる。
同調査結果は↓