個別労働紛争処理制度は、個々の労働者と事業主の紛争を、裁判に持ち込まず紛争当事者間で自主的かつ迅速な解決を図る制度。厚生労働省がこのほど発表した2020年度における同制度の施行状況によると、労働基準法上の違反を伴わない解雇、労働条件の引下げなどの民事上の個別労働紛争に係る相談件数は、過去最多だった前年度に比べて▲0.2%と横ばいの約27.9万件と、3年ぶりに減少したが、高水準で推移している。
全国379ヵ所に設けられた総合労働相談コーナーに寄せられた労働相談は、2020年度1年間で前年度比8.6%増の129万782件と13年連続で100万件を超え、高止まりしている。このうち、民事上の個別労働紛争に関するものは▲0.2%の27万8778件だった。内容別では、「いじめ・嫌がらせ」が最多の7万9190件(22.8%)で9年連続トップ、「自己都合退職」が3万9498件(11.4%)、「解雇」が3万7826件(10.9%)で続く。
個別労働紛争相談の内容を前年度と比べると、「いじめ・嫌がらせ」は▲9.6%、「自己都合退職」が▲1.5%とともに減少したが、9年前までトップで減少傾向にあった「解雇」は9.4%増と2年連続で増加した。相談者は、労働者が83.2%と大半を占め、事業主からの相談は9.9%だった。労働者の就労形態は、「正社員」が36.0%、「パート・アルバイト」14.2%、「期間契約社員」11.2%、「派遣労働者」5.3%となっている。
一方、自主的な紛争解決が難しい場合は、弁護士などの有識者で構成された紛争調整委員会にあっせんを申請できるが、2020年度のあっせん申請件数は前年度比▲18.0%の4255件だった。処理状況をみると、手続きを終了した4289件のうち、「合意が成立」したものが32.4%、申請者の都合による「申請取下げ」が5.3%、紛争当事者の一方が手続きに参加しないなどの理由による「あっせんの打切り」が61.9%だった。
2020年度内に処理した4289件のあっせんのうち、「2ヵ月以内」に処理されたものが79.5%とほぼ8割を占めている。なお、あっせんの申請者は、労働者が98.3%と大半を占め、事業主からの申請は1.6%、労使双方からの申請は0.1%(3件)だった。労働者のうち48.3%は「正社員」だが、「パート・アルバイト」(19.5%)や「期間契約社員」(19.2%)も合計で4割近くを占める。
2020年度個別労働紛争解決制度の施行状況の詳細は↓