全国の就業者のテレワーク利用率16%、東京圏27%

 NIRA総研がこのほど発表した「第4回テレワークに関する就業者実態調査」結果(有効回答数9796人)によると、2021年4月1週目時点の全国の就業者のテレワーク利用率は16%となった。2020年6月以降は、ほぼ同水準で推移している。東京圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)のテレワーク利用率(居住地ベース)は、2021年4月1週目時点で27%となり、全国平均と比較して11%ポイント高い。

 テレワーク利用率は産業、所得階層などで大きく異なる。2021年4月時点の産業間や所得階層間のテレワーク利用率の格差は、新型コロナウイルス感染拡大前の2020年1月よりも拡大している。一方、出社頻度は、緊急事態宣言が出されると低下し、解除されると増加する傾向がある。2021年4月時点で、出社頻度が「週5日以上」の割合は64%、「週2~4日」が28%、「週1日以下」が7%となった。

 テレワーク利用者の利用頻度は、第1回目の緊急事態宣言が明けた2020年6月をピークに2020年9月で下がった後、緩やかに増加している。2021年4月1週目で、テレワークの頻度が「週5以上」の割合は23%、「週2~4日」が56%、「週1日以下」が20%となった。労働時間に占めるテレワーク時間の割合は、コロナ禍でテレワークを利用し始めた人よりも、コロナ禍前からテレワークを利用し始めた人のほうが大きい。

 ICTツールの活用状況は、2020年6月から2021年4月にかけて、少しずつ伸びているが、大幅な増加はみられない。2020年6月時点と比べると、コミュニケーションを円滑化するためのICTツールの活用が少し伸びた。コロナ禍における仕事の効率性が通常勤務と変わらない場合を100とした場合、テレワーク利用者のうち、ICTツールを利用していない人の仕事の効率性の平均は82であり、利用している人の88よりも低い。

 テレワークの利用場所として多いのは、「自宅の書斎・自身の部屋」(69%)や「書斎・自身の部屋以外の自宅のスペース」(28%)。こうした自宅の場所を利用できない人の仕事の効率性の平均は65と、自宅の部屋を利用できる人の90前後よりも、大幅に下がる。また、生活に関わる変化では、新型コロナウイルス感染拡大前と比べて世帯支出を減らした項目は、外食費や交際費、趣味・娯楽・レジャーだった。

 「PCR検査を受けた」人の割合は14%、「Go Toトラベル、Go To Eat、対面での会食・飲み会」は30%程度、「オンラインでの会食・飲み会」は15%。所得階層が高いほど利用頻度が高く、政策の恩恵を受ける傾向がみられた。なお、特別定額給付金を除く「個人への経済的支援を申請した」人の割合は10%と多くはない。「自身の所属する企業が何らかの経営支援策を利用」は19%であり、小規模な企業や、飲食・宿泊業での利用が多い。

 同調査結果は↓

https://www.nira.or.jp/outgoing/report/entry/n210611_1017.html