債務の過剰感について、「コロナ前から過剰感がある」は13.0%、「コロナ後に過剰となった」は18.6%と、合計31.6%が「過剰債務」と回答したことが、東京商工リサーチが6月上旬に実施した「過剰債務に関するアンケート調査」結果(有効回答数9492社)で分かった。中小企業(資本金1億円未満、個人企業等)に限定すると、「過剰債務」は34.2%にのぼり、中小企業の3社に1社が過剰債務を抱えている実態が浮き彫りとなった。
コロナ禍で急激な業績悪化に陥った企業への資金繰り支援策は、企業の一時的な資金繰り緩和に大きく寄与。一方、業績回復の遅れもあり、バランスシートの肥大化を引き起こしている。今回の調査で「過剰」の要因は、金融債務だけでなく、人件費や家賃、税金・社会保険料、保証債務、不利な取引条件・契約など多岐にわたることも分かった。こうした中小企業の置かれた環境に則した、資金繰り支援だけではない多様な支援が求められる。
業種別にみると、「過剰債務率」が最も高かったのは、「飲食店」の77.1%、以下、「宿泊業」の76.6%、旅行や葬儀、結婚式場などを含む「その他の生活関連サービス業」の73.7%、「道路旅客運送業」の72.0%と続く。飲食店や宿泊業は、休業協力に関する支援(協力)金や「Go To トラベル」、「Go To イート」など複数の支援策が実施されたが、それでも「過剰債務率」が高く、コロナ禍の影響が根深いことを示している。
「コロナ前から過剰感」、「コロナ後に過剰感」と回答した企業が過剰を感じた要因(複数回答)は、トップが「金融機関からの借入」の81.6%。規模別では、「金融機関からの借入」は、大企業で70.6%に対し、中小企業は82.4%に達した。また、「人件費・家賃」(27.8%)、「税金・社会保険料」(20.0%)を挙げる企業も多い。コロナ禍でビジネス環境が変化し、固定費、変動固定費が経営上のネックとなっているようだ。
今回の調査では、コロナ関連融資で借入金が膨張しており、コロナ禍で多くの企業が過剰債務に苦しむ事態に陥っている。過剰債務の理由は、トップは「金融機関から借入」だが、「人件費・家賃」や「自社に不利な取引条件・契約」をあげる企業もある。東京商工リサーチは「ウィズコロナ・アフターコロナに向けた取組みでは、バランスシートの負債だけにとらわれず、損益上の費用や商流への配慮も必要」とコメントしている。
「過剰債務に関するアンケート調査」結果は↓