東京商工リサーチが発表した「コロナ禍における食料品関連業調査」結果によると、新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言などで、時短営業や休業要請で飲食業の苦境が続くが、その裏側では食料品関連業界の疲弊も進行していることが分かった。同調査は2020年2月から実施したもので、飲食業を除く飲食料品の製造業・卸売業・小売業が対象。2021年4月、食料品関連業でコロナの「影響が継続している」のは84.5%に及んだ。
「影響が出たがすでに収束した」は4.7%にとどまった。コロナ禍収束への道筋が見えず、企業活動への影響が深刻さを増している。コロナ禍で食料品関連業界は人員不足や物流停滞、さらに巣ごもり需要などが起き、その後もイベント中止や外食向け納品の鈍化、供給の偏りによる影響が続いている。売上回復も遅れ、コロナ関連支援策の利用は63.3%に達し、過剰債務が重くのしかかっている。
食料品関連業で新型コロナの影響は、飲食料品小売業が最も深刻。2020年2月、「新型コロナの発生による企業活動への影響は、「すでに出ている」の回答が飲食料品小売業は40.0%で最高。さらに、2020年3月72.8%、4月80.4%と月ごとに上昇。当初、商品の入荷遅延の混乱が多く、食品スーパーなどでは客数増による店舗運営のひっ迫を訴える声が多かった。その後、時短営業や感染対策の負担などの影響を訴える声が増えた。
新型コロナの発生による企業活動への影響が「すでに出ている」との回答は、2020年2月、飲食料品製造業は18.9%、飲食料品卸売業は29.6%だったが、3月以降は影響が大幅に広がった。製造業は、工場運営に欠かせない衛生用品の品薄や価格高騰とともに、外食向け受注が落ち込み、小売店向けなど一部の商品では需要が急増するなど混乱が広がった。2021年4月も、3業種はそれぞれ8割を上回っている。
2020年2月の減収企業は65.1%にとどまっていたが、徐々に増加。1回目の緊急事態宣言の発令中の5月には85.9%に達した。6月以降は減収企業の比率は徐々に落ち着き、10月は68.0%と2月と同水準まで戻した。しかし、2回目の緊急事態宣言が発令された2021年1月は、79.8%に上昇。同年3月は54.8%だが、コロナ禍前の2019年3月と比較すると70.5%で、コロナ前の水準に遠く及ばず、厳しい経営を強いられている。
同調査結果は↓