日本政策金融公庫が三大都市圏の取引先企業を対象に4月に実施した「新型コロナウイルス感染症の中小企業への影響に関する調査」結果(有効回答数668社)によると、新型コロナ感染症のマイナスの影響が、「現時点で大いに(+少し)ある」との回答企業割合は、初回調査の2020年4月に53.9%、8月には80.7%に達した。その後徐々に割合は低下してきているが、直近の2021年4月で69.1%の企業がマイナスの影響を受けている。
2021年4月調査の結果について、最終需要分野別に「現時点で大いに(+少し)ある」と回答した企業の割合をみると、「食生活関連」(82.8%)、「衣生活関連」(77.6%)、「設備投資関連」(73.2%)などで高い。特に、「衣生活関連」は、「現時点で大いにある」との回答が65.3%と高いのが目立つ。一方で、「乗用車関連(二輪車を含む)」や「電機・電子関連」は、「現時点で大いに(+少し)ある」割合が各54.3%、58.4%と低くなっている。
また、マイナスの影響の内容(複数回答)については、「国内の取引先企業の需要が減少」が75.2%と最多。以下、「国内の一般消費者の需要が減少」(37.5%)、「出張・交際・イベントなどの営業活動に制約」(34.1%)と続く。また、これまでの推移をみると、「海外で需要が減少」を挙げる企業の割合が低下する一方で、足元では「原材料・商品が手に入りにくくなっている(仕入価格の上昇を含む)」を挙げる企業の割合が上昇している。
4月調査で新型コロナウイルス感染症への対策(複数回答)をみると、「融資の申請」が60.1%と最多、「雇用調整助成金の申請」(54.3%)、「営業の(一部)自粛」(52.2%)と続く。一方で、「実施していない」企業は3.9%にとどまり、大半の企業が何らかの対策に取り組んでいる。また、これまでの推移をみると、「従業員の一時帰休」を挙げる企業が減少してきている一方で、「新たな販売先の開拓」を挙げる企業が徐々に増加してきている。
新型コロナ感染症終息後の動向について、業況がコロナ前の水準に回復するのにかかる時間を尋ねたところ、「1年超2年以内」(33.1%)、「2年超3年以内」(9.8%)、「3年超」(2.2%)と答えた企業の割合は、約4割を占めた。2021年4月調査の結果について、回復までにかかる時間を「1年超2年以内」、「2年超3年以内」、「3年超」と答えた企業の割合を最終需要分野別にみると、「衣生活関連」が59.5%と最も高い。
同調査結果は↓