事業継続上の不安点は「需要の減少・回復の遅れ」

 大阪商工会議所が発表した「中堅・中小企業の経営状況・課題に関するアンケート調査」結果(有効回答数396社)によると、今後の事業継続上、不安に思う点(複数回答)は、「需要の減少・回復の遅れ」が5割台後半(57.8%)で最多だった。以下、「既存顧客との取引縮小・回復の遅れ」(42.4%)、「人材の確保(人手不足)・育成」(35.9%)、「新規顧客開拓、販路開拓の遅れ」(32.3%)、「原材料費、物流費、燃料費などの高騰」(29.0%)と続く。

 売上が減少する中で、需要の減少や取引の縮小とともに、人材の確保・育成や、原材料費、物流費、燃料費などの高騰への不安が顕在化している。他方、「資金繰りの悪化」(25.5%)
や「関係先・取引先の休廃業・倒産」(21.2%)は、2020年度に比べ減少した(「資金繰りの悪化」2020年度:50.7% → 25.5%、「関係先・取引先の休廃業・倒産」2020年度:39.8% → 21.2%)。

 重点的に取り組みたい経営課題(複数回答)については、「新規取引先・顧客の開拓」が64.1%で最も多く、次いで、「既存取引先・顧客との取引拡大」(52.5%)、「新分野進出・新商品・サービス開発など新しい収益源の確立」(49.0%)が上位となった。以下、「既存事業の販路・市場拡大」(40.4%)、「人材確保(人手不足)・育成」(38.6%)、「財務基盤強化・資金繰り改善」(34.3%)と続く。

 賃金動向では、2021年度の「正社員」の賃金改定方針について、「引き上げる」と回答した企業は5割台半ば(55.8%)で、2019年度(65.8%)に比べ減少した。賃上げの金額は、「昨年度と同程度」(37.4%)が最多。「昨年度より賃上げ額を増額の上で、引き上げる」は2019年度に比べ大幅に減少(24.0%→8.3%)し、「賃金改定は見送る(現状維持)」が、2019年度から増加(28.1% →31.6%)するなど、賃上げへの姿勢は消極的だ。

 デジタル化に取り組んでいる・検討していること(複数回答)は、「インターネットバンキング」(53.3%)、「オンライン会議システムの活用(営業活動・商談)」(43.9%)、「勤怠管理・給与計算・経理システムなどの導入」(38.6%)などが上位に挙げられた。他方、「収集データによる製品開発やサービス向上」(5.3%)や「他社とのデータ連携による製品開発やサービス向上」(2.3%)は、企業規模にかかわらず少数にとどまる。

 同調査結果は↓

「中堅・中小企業の経営状況・ 課題に関するアンケート調査」結果について (cci.or.jp)