休廃業・解散、ホテルなど宿泊業で一転、急増傾向へ

 帝国データバンクがこのほど発表した「2021年1~3月の全国企業『休廃業・解散』動向調査」結果によると、企業の休廃業・解散件数は、2020年で約5万6千件を数えた。同年の倒産(7809件)の約7倍で推移したものの、2019年の約6万件を下回り、過去5年間では最も少なかった。政府や金融機関による資金繰り支援・給付金等が奏功し、休廃業・解散の抑制につながった。

 一方、2021年に入っても新型コロナウイルスの感染に収束がみられなかったが、2021年1~3月に全国で休廃業・解散を行った企業(個人事業主を含む)は1万3512件(前年同期比 9.5%減)となった。同期間では 2016年以降で最も少なく、1~3月時点では前年同様、引き続き抑制傾向で推移した。しかし、4月25日には東京・大阪・京都、兵庫の4都府県を対象に再度の緊急事態宣言、休業要請が出されている。

 売上の大幅減が避けられない三度目の緊急事態宣言・休業要請は、対象となる飲食店や小売店、サービス業をはじめ1年以上の我慢を強いられてきた業種・業界にとってはさらに影響が大きい。既に一部の業種では休廃業・解散が前年までと異なって増加傾向に転じており、景況感や需要回復への期待から一転して経営再起への諦めムードが広がることで、事業者の倒産・廃業が急拡大する懸念は拭えない。

 1~3月にかけてサービス業などでは引き続き厳しい経営環境が続いた。しかし、官民一体となった資金繰り支援が経営の苦しい中小企業における事業継続意欲の喪失や再建断念の動きを一時的ながらも予防しており、休廃業・解散の発生を抑制した主要因となっている。ただ、同期間で2割超の減少となった倒産(2019年1~3月:2091件→20年同:1596件、23.7%減)と比べ、1~3月時点では休廃業・解散の減少は小幅にとどまった。

 業種別では、その他を除く7業種中5業種で前年同期を下回った。なかでも「小売業」(911 件)は前年同期比 19.7%減と2割近く減少。他方、「運輸・通信業」(188件、前年同期比 14.6%増)と「サービス業」(1759件、同0.1%増)の2業種は前年同期から増加。なかでも、「旅館・ホテル」(46件)では35.3%増と前年同期から大幅に増加した。業種細分類では、前年同期比で最も増加したのは「旅行代理店」(25件、同78.6%増)だった。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210409.html