3度目の緊急事態宣言、苦境が続く「飲食業」の行方

 4月25日に3度目の緊急事態宣言が東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に発令されたが、東京商工リサーチは、そうした状況下、苦境が続く「飲食業」の行方を分析している。緊急事態宣言により、時短営業に加え、酒類を提供する飲食店には休業が要請される。コロナ禍に振り回される飲食業は深刻な影響が避けられない。緊急事態宣言の対象地域外でも新型コロナの感染は拡大しており、飲食店への客足はさらに遠のきそうだ。

 2020年度(20年4~21年3月)の「飲食業倒産」は、前年度比6.7%減の784件だった。2019年度まで、人手不足に伴う人件費の上昇から、飲食業業界は苦境にさらされ倒産が増加していた。2020年度の倒産は減少したが、これは民間金融機関による実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)や持続化給付金などの支援策が下支えしたためで、その効果も薄れるなかで新型コロナに翻弄されている。

 政府の資金繰り支援策で、2020年度の企業倒産は30年ぶりに8000件を下回る7163件(前年度比17.0%減)と記録的な低水準だった。飲食業の倒産は減少したとはいえ、減少率(6.7%)は10.3ポイント低い。また、「新型コロナウイルス」関連倒産も、飲食業倒産の25.7%を占め、倒産全体の構成比16.0%を上回る。全体の倒産は減少をたどるが、その裏側ではコロナ禍で苦境に追い込まれた飲食業の姿が透けて見える。

 2020年4月、最初の緊急事態宣言が発令され、かき入れ時の大型連休に客足が途絶えたことで、夏場にかけ飲食業の倒産は高水準をたどった。だが、9月以降は飲食業への時短営業要請の解除や、Go Toキャンペーンも始まり、飲食業倒産は一転して減少に転じた。11都府県に2度目の緊急事態宣言が発令された2021年1月以降も、時短営業要請に対する補償として支給された感染拡大防止協力金などの下支え効果で、前年同月を下回っている。

 倒産の推移とは別に、飲食業の経営環境は深刻さが増している。2021年4月1日~12日に東京商工リサーチが実施した「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」では、資金繰り支援策を利用した「飲食業」の割合は91.5%で、業種別では道路旅客運送業に次ぐ2位、廃業検討率は業種別平均7.8%を大きく上回る30.3%にのぼった。現業態での事業継続が難しく、先行きを厳しく見ている飲食業の経営者が多いことを示している。

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