緊急事態宣言の影響、「受注・来店客の減少」が最多

 東京商工会議所が発表した「中堅・中小流通・サービス業の経営課題に関するアンケート」結果(有効回答数640社)によると、コロナ禍における現在の業況は、1年前と比較して「経営が悪化している」企業(大きく悪化+やや悪化)が、75.8%を占めていることが分かった。コロナ長期化により中小流通・サービス業への影響が深刻さを増している。業種別では、「サービス業」の経営悪化が顕著となっている。

2月の2回目の緊急事態宣言による影響(複数回答)では、「受注・来店客の減少」(73.8%)が最多。次いで「社員の働き方が変わった」(40.8%)が多い。具体的な対応策(複数回答)では、「補助金・助成金の利用」(52.2%)が過半数を占めたほか、「資金調達の対応」(35.5%)・「コスト削減」(34.7%)と資金繰り対応を講じている。一方、「デジタル化・IT活用の導入・強化」は2割(20.0%)にとどまった。

コロナ以前からの優先度の高い経営課題(3つ選択)では、「販路拡大」が6割超(66.7%)を占めた。以下、「新分野への参入」(25.8%)、「コスト削減」(25.3%)、「資金調達」(23.9%)、「デジタル化・IT活用」(22.2%)を課題に挙げる企業が多い。また、商取引において、アナログベースによる事務作業の割合は、受発注・検品・請求処理いずれにおいても「業務の5割以上がアナログ対応」と回答した企業が約6割を占めている。

今般のコロナ禍を機にデジタル化・IT活用が「増加した」と回答した企業は43.6%。デジタル化への対応は、中小流通・サービス業にとって避けて通ることができない状況にある。自社のデジタル活用が進まない要因(複数回答)では、「必要だが、他の業務が優先されてしまう」(30.0%)、「社内に詳しい人材がいない」(27.2%)、「自社の業務に合ったシステムが見つからない」(23.0%)が多く、社内で検討する余裕がない状況がうかがえる。

サプライチェーンの課題については、総じて課題であるとの認識が低く、課題への対応も進んでいない。物流では「ピーク期への過度な集中」、ムリ・ムダ・ムラでは「取引先毎に異なる受発注データ・納品形態」、商取引慣行では「アナログベース(紙・電話・FAX等)の取引」、「契約条件の曖昧さ」、「時間指定納品」の5項目で課題と認識している企業の割合が過半数を占めた。

 同調査結果は↓

https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1024614